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毛に関する広告

by 唐草 [2014/04/03]



 電車の中で世の中の縮図を目にしたような、何かを悟りかけたような気分になった。
 車両と車両をつなぐドアの左右に、シールタイプの小さな広告が貼られていた。
 右側の広告は、男性向けの抜け毛予防用のヘアトニックと思われる商品の宣伝だった。うむ、世の中の男性は皆、禿げることを恐れている。薬やらシャンプーなんかで毛が抜けるのを止められるのなら、藁にもすがる思いで頼ることだろう。
 一方、左側の広告は、女性向けの脱毛エステの広告だった。どうも、世の中の女性は、無駄な毛はすべて抜き去ってしまいたいと思っているらしい。いちいち剃るなんて面倒な対処療法的なアプローチはやめて、根本から問題を解決したいのだろう。
 なんて、示唆的な広告の並びなんだ。
 かたや毛を守る広告、もう一方は毛を抜く広告。
 もちろん抜いたり守ったりする場所は違う。脇毛増毛やら睫毛脱毛という事ではない。
 それでも、ここまで対照的な広告が並んでいる様子を目の当たりにして、世の中の価値観の幅の広さやら、男女の違いというのをまざまざと見せつけられたような気分になってしまった。
 ああ、抜けることを嘆く人がいる一方、抜きたい人がいるこの世の中は、なんと理不尽なのだろう。
 それにしても、なんでこの正反対とも言える2種類の広告が並んで掲載されているのだろうか?新生活が始まる4月なので、身だしなみを整えるための商品の宣伝が全面に出てくることは何となく分かる。でも、よりによって脱毛と育毛が並ぶなんて、あまりにも酷な仕打ちではないだろうか?
 何者かの悪意が介在しているように思えない。そんな作為的な並び方と言えるだろう。