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一年前は

by 唐草 [2014/04/10]



 今日から2014年度の授業がスタートした。
 学生に混じってスクールバスに揺られながら大学へと向かった。
 ぼくの勤める大学は、山の上にある。標高こそそんなに高くは無いが、街を一望できる高台にある。そんな立地で街から離れているので、朝はなんだか清々しい。春の朝日を浴びて、小鳥のさえずりを聞きながら教室へと向かった。まるで、ちょっとしたハイキングのようだ。
 余裕たっぷりである。
 でも、それは今年が2年目だから。
 ちょうど1年前は、ひどいありさまだったのを良く覚えている。きっと過去ログを読めば生々しい記述がいくつか出てくることだろう。
 早起きが不安で眠れなかったし、緊張のあまり手は氷のように冷たくなっていた。口を開けば吐きそうだった。初めて乗った通学ピーク時間のスクールバスでは運良く座れたが、もし座れていなかったら倒れていたかもしれない。あの状態で健康診断でも受けたら、確実にドクターストップが出ていそうな程に緊張していた。
 1年経てば変わるもの。もう、大学は勝手知ったる庭のようなもの。
 先生たちの人となりも分かってきたし、授業の段取りも頭に入っている。学生のモチベーションと能力もだいたい分かっている。恐れるものは、これらの安心感が生み出す余裕から来る寝坊ぐらいなものだ。
 きっと去年の今頃も、小鳥は気持ちよさそうにさえずっていたはずだ。でも、そんな音を聞いた記憶はまるでない。
 朝日を心地良いと思える余裕のできた自分に少しだけ成長を感じた。