by 唐草 [2014/07/20]
久々にカラス団扇をもらいに行ってきた。
この一文でぼくがどこに何しに行ったかを理解できるのは、まちがいなく多摩人だけだろう。
府中にある大國魂神社の夏祭り「すもも祭」の名物が黒いカラス団扇。なんでも玄関先に飾っておくと厄除けになるらしい。
信仰心は皆無なので厄除け効果にはなんの期待もしていないのだけれども、黒い団扇のデザインが好きで玄関先に飾っている。なお、団扇としては雑な作りなので、あおいでもプラスチック製の団扇程度の風しか来ない。完全にインテリアアイテムとして団扇を受け取りに行っている。
賑わいを見せた祭で団扇を受け取った帰りにことは起こった。
帰りの電車から見える空が、ラスボスでも出てきそうな程に不安な様子だった。黒い雲が低く垂れ込め、間違いなくピンポイントに豪雨が降っていそうな状況だった。電車は黒雲に向かって一直線。下車駅は、すでに雲に飲み込まれているように見えた。駅までは自転車で来ている。どうにか雨が降り始める前に電車から降りたい。
電車が駅に到着して扉が開いたとき、あたりは既に日が沈んでしまったのかと思うほどに暗かった。でも、まだ雨は降っていなかった。これなら間に合うかもしれないと駐輪場へダッシュしている最中に空から水滴が落ちてきた。
そして、駐輪場に着いたときには既に本降りの雨となっていた。
この間、わずか30秒足らず。
その後の展開も実に早かった。見る見るうちに雨脚は強くなり、駅前のバスターミナルは雨煙にくすんで見えなくなってしまった。雷もすぐ近くをウロウロしている感じだ。一瞬だけ雨脚が収まることもあったが、それは卓越したフェイントのようなもの。雨宿りにしびれを切らして外へと飛び出した人を確実に濡らす巧妙な罠だった。
結局、1時間ぐらい雨宿りをするハメになった。