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9月のプール

by 唐草 [2014/09/04]



 今年の夏の終わり方は、急激だった。ある日を境に急激に寒くなって -もっとも寒いと言っても体が慣れていないだけだが- そのまま秋になってしまった。季節の移ろいを感じる暇もなく、まるでゲームの中の世界のように「昨日まで夏、今日からは秋」といった具合に季節が変わった。
 急激に気温が変わって一晩で季節が変わったとしても、社会はそれに付いていくことが出来ない。いまだに夏の気配を残したままの場所もある。
 そのひとつが、車窓から見えたプール。たぶん市営か何かの屋外プールだ。この日記にも度々登場している。冬の間は藻に覆われているが、夏が近づくと掃除が始まる。それを見る度に夏の到来を感じさせてくれるプールだ。通過駅にあるので、利用したことは一度もないけれど…。
 本来9月の第1週なんて、まだまだ夏。プールだって、夏休み気分の抜けきれないお子様で賑わっていても不思議はない。
 でも、昨日見たプールには閑古鳥が鳴いていた。監視員の方が多いのではないかというありさまだった。
 夏の間は、車窓から見える青いプールは目にも涼やかだった。日焼けをした黒い人々と太陽光をキラキラと反射する水面、そしてプールに良くある水色の塗装。どれもが、気持ちいいほどに夏だった。
 昨日、見たプールは同じ場所にあるとは思えないほどに場違いな印象があった。
 人がいない。
 日射しも弱いせいか水面にきらめきがない。
 でも、変わらずプールの底は水色のまま。
 なんかそこだけ夏が残されているようで、妙な具合に見えた。夏の名残を見つけて喜んだっていう感じではない。去った夏を実感したような感じ。