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キトラ古墳

by 唐草 [2014/11/20]



 NHKで放送されたキトラ古墳の番組がおもしろかった。
 キトラ古墳に埋葬されているのは誰なのかを追っていく番組だったのだが、その手順の説明が丁寧だった。ちょっとしたミステリードラマを見ているようだった。
 結論からいうと、キトラ古墳に埋葬されていた人は特定できていない。それは、鎌倉時代ぐらいに盗掘されてしまったことが原因らしい。墓にはめぼしい装飾品は残っていないので、埋葬物から埋葬者を特定することができないそうだ。
 それでも、歴史学者は様々な方法で埋葬候補者を絞っているらしい。
 番組では、特定方法を順を追って詳しく紹介していた。
 日本書紀などの資料によると、当時、古墳に埋葬されるクラスの皇族や豪族、渡来人はで現在に至るまで墓が見つかっていない人物は十数人いるそうだ。これらの候補者をいろいろな資料を元に絞っていた。見つかった骨片から死亡推定年齢や性別を推測して、候補者をふるいにかけていく。また、他の古墳の埋葬品から第何次の遣唐使船の後なのかというような推理も行われていた。
 外堀をドンドン埋めていくことで、事実に迫っていく作業はまるでシャーロック・ホームズの推理のよう。
 中高生の頃にまったく意味を持たない数字として覚えさせられた歴史の年号が活躍する瞬間を初めて見た気がする。
 前にも書いたことがあるが、歴史という学問は事象を単独で覚えていてもほとんど何の価値もない。点で覚えるのではなく、同時代に何があったのかを踏まえて点と点をつないで面を作って記録にない歴史を浮かび上がらせる学問だと思う。
 これは、包括的な莫大な知識量がないとできない作業だろう。学校教育に取り入れるのは難しいかもしれない。
 でも、中高生の頃にこういうプロセスが存在を経て歴史というものを推理しているということを知る機会があれば、全然歴史という教科の見え方が違ったと思う。