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破綻のないタイムトラベル

by 唐草 [2014/11/21]



 先週ぐらいだったと思うが、どこかのまとめサイトで「破綻のないタイムトラベル」に関する議論のまとめが紹介されていた。タイムトラベルもののSFが好きなぼくとしては、見逃せないまとめだった。
 現実にタイムトラベルという事象が行われていないので、タイムパラドックスが発生したらどうなるのかなんて誰にも分からない。時空の解釈にも様々な考え方があるようなので、何を持って破綻とするかを厳密に定めることはできないのかもしれない。でも、こういう議論を見ていると、人々が時間旅行にどういう夢を描いているのかが垣間見える。
 ぼくの大好きなタイムトラベル映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー(BTTF)』。これなんて、厳密な見方をしたら救いがたく破綻した設定となっている。両親の出会いを妨害してしまったが故に未来の自分がいなくなるというのは、納得できる。でも、兄弟が順番に消えていくというのは、演出としては最高におもしろいが、物理的な事象として考えると訳が分からない。その他にもBTTFには、様々な矛盾がある。挙げていたらキリがない。
 タイムトラベルものを語る上で、避けては通れない定義の問題がある。この認識が違っていると議論が進まないので、改めて書いておこう。
 並行世界の存在を許容するか否かだ。
 並行世界を許容すると矛盾は減る。でも、タイムトラベルに出た元の世界では、旅行者は神隠しにあったように消えた存在となってしまう。破綻がない世界を選んで物語を描けば筋は通るが、世界は無限に存在して発散してしまうように思える。
 逆に並行世界を許さないと、過去の改変が現在を変化させるために物語に矛盾が生じてしまうことがある。
 どちらの世界観を採用するかで、物語は大きく変わるだろう。
 さて、議論のなかで破綻のない物語として挙げられていたのが、『夏への扉』という古典SF。この物語では、コールドスリープで未来にいった主人公が"自分が寝ていたはずの期間に打ち立てられた自分自身の業績"を知る。そして、タイムマシンで過去に戻ってつじつまをあわせるために奮闘する姿が描かれている。
 やはり、未来へと飛ぶタイムトラベルの方が矛盾を含まないのだろうか。確かに、確定してしまった過去へ干渉するよりも、未来に干渉する方が楽そうだし夢もある。
 過去へ旅立つタイムトラベルもので、破綻のない作品はないのだろうか?ぼくの少ない読書量では、該当する作品が思いつかない。