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選挙ポスター

by 唐草 [2014/12/02]



 時の流れと主に変わりゆくものが多いこの現代において、変わらないものを見ると安心感を覚えることがある。
 例えそれが、珍妙なものであっても。
 国政選挙の度にそんなことを東京1区、つまり千代田区周辺の選挙ポスターを見る度に思う。
 例の黄色い文字だらけのポスターだ。腹を切れとか地獄の業火とか書かれているアレ。特徴的なポスターをネットで見たことのある人も多いだろう。ぼくは、選挙の度に現物を見ている。
 冷静に考えると、あのポスターのデザインは最低だ。デザインの基本原則をまるで無視している。デザインの課題であんなポスターを作ったとしたら、間違いなく0点だ。
 試しに悪い点を挙げてみよう。
・候補者の名前が小さすぎて読めない。
・主張の文章の文字は更に小さく、文字が書いてあることすら認識できない。
・文章が長すぎて主張が分からない。
・顔写真が小さすぎて、候補のイメージが湧かない。
・一般的な選挙ポスターのデザインから逸脱しすぎていて、掲示板に貼られているものが選挙ポスターだと認識できない。
 こんな感じで、減点要素が盛りだくさん。
 でもね、実際のところ張られているポスターを見れば一発であの候補だと理解出来る。Photoshopで修正したキレイすぎる笑顔が並ぶ中に、黄色い紙が一枚あるだけで誰のものかすぐに分かる。
 この事実って、驚異的。
 継続して逸脱し続けていたので、それがスタンダードに変わってしまった稀有な例だと思う。
 どんなものでもブレずに使い続けていれば、持ち味になる。揺るぎない強さと、継続の強さを見せつけられたように思う。
 そして、この黄色いポスターが変わっていないことに小さな安堵感を覚えるのである。例え、その紙に書かれた文面が過激なものであろうと。