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シリコンオイルの罠

by 唐草 [2014/12/15]



 先日、ホームセンターへ買い物に行ったらシリコンスプレーが特価で販売されていた。
 市販されている潤滑剤の中でもシリコン系は、ちょっと高めな印象がある。自転車整備用に買おうかと思っていたのだが、いつも安いサイクルオイルで済ませていた。でも、今日は特価でサイクルオイルより安くなっている。このお値段なら間違いなく買いだ!
 勢いで買ってみたものの、今のぼくの自転車はサイクルオイルにまみれている。シリコンスプレーを使用するためには、一度オイルを洗い流してやる必要がある。この寒い季節にはやりたくない作業だ。うーむ、これではシリコンスプレーが使えない。せっかく買ったというのに…!
 シリコンスプレーの用途は、自転車だけではない。金属だけでなく、木材にも使用することができる。オイルよりもずっと汎用性の高い潤滑剤なのだ。とパッケージ裏面に書かれていた。
 そのことを理解したので、早速我が家の滑りの悪い場所にスプレーを噴霧しまくった。
 キーキーうるさかったリビングやトイレの扉は無音で開閉するようになった。また、金属が擦れる音がしていたガラス窓も静かに開閉するようになった。
 これは、すごい!こんなにも変わるのか!
 シリコンスプレーの効果に感激したぼくは、もっと様々な場所に散布することを誓った。
 まずは、リビングにある木製の棚の引き戸。引き戸のレールにスプレーしてみると、今まではしっかりと握らないと開けられなかった扉が指一本で開けられるようになった。今までの感覚で力を込めて開けてしまうと扉がレールの一番奥まで飛んでいくかのような勢いで開く。
 確かに木材にも絶大な効果がある。シリコンスプレーは金属ではなく、むしろオイルを使用できない木材でこそ効果を発揮するものなのかもしれない。
 そう確信して、ぼくは次の仕事へ取りかかった。
 その場所は、自室の扉。我が家では、ぼくの部屋と風呂場の脱衣所だけが引き戸になっている。最近、ぼくの部屋の扉が重くなっている。こここそ我が家でもっともシリコンスプレーを必要としている場所だろう。
 扉のレールに入念にスプレーした。
 その際に、ちょっとした事故が起きてしまった。スプレーにつけていた細いノズルが外れて、床にシリコンの飛沫が飛んでしまった。
 慌てて拭いたのだが、これが間違いだった。シリコンを塗り広げてしまうこととなった。
 結果として、ぼくの部屋の出入り口は、氷が張った地面のように滑るようになった。廊下でスケートを楽しめそうなほどに滑る。それは笑い事ではなく、身の危険を感じるほどの滑り具合だ。
 シリコンスプレーを使う際には、細心の注意を払って欲しい。これが、恐怖のスベスベ廊下を作ってしまったぼくからの警告だ。