カレンダー

2015/01
    
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

水洗ホラー

by 唐草 [2015/01/16]



 ぼくのようにお腹の弱い人間にとってトイレの状況をしっかり把握しておくのは生きるための知恵でもある。どこにどんなトイレがあるのか?混雑状況はどうなのか?それらを適切に把握しておくことで心理的圧迫を少しながら軽減することができる。結果、トイレのリスクが軽減する。賢いリスクヘッジだ。
 駅のトイレは混んでいるので、駅に隣接するデパートの3階トイレを狙うなどといった高度なプランがぼくの頭の中には叩き込まれている。
 さて、大学という施設は広大だ。新旧いくつもの建物が建ち並んでいる。当然のことながら、多くのトイレが至る所に点在している。どこにトイレがあるかを把握しているだけでは事足りない。古い校舎だといまだに個室が和式だったりする。一方、改修が済んで最新鋭の便器が導入されている場所が密かにあったりもする。さらに、学生の動きを考慮しないと混雑に巻き込まれることもある。
 ぼくが授業を行っている棟は、大学の中でも古い棟のひとつのようだ。トイレは和式でバリアフリーなんて概念は存在していない。照明も暗いし…。だが、この前の夏にあるフロアだけトイレの改修が行われた。その結果、棟の一部にだけ学校で最も新しいトイレが導入された。ここは、穴場のトイレだ。
 最新鋭トイレには、様々な機能がついている。温便座、ウォシュレット、水音機能などがある。洋式の便器には自動洗浄までついている。トイレから離れるだけで水が流れる優れものだ。
 だが、この自動洗浄機能に関して恐ろしい体験をするハメになった。
 朝、学校に着くなりトイレに飛び込んだぼく。心中は察してもらえるだろうか?
 座ってほっと一息ついていたらいきなり尻の下で水が流れ出した。ぼくは、ピクリとも動いていないのに何かがセンサーを作動させた。いったい何が動いたのだろうか?虫でもいたらイヤだなと思ってセンサーの周囲を見回したが何もいない。ゴミひとつ落ちていない。
 よかった…と一瞬思ったのだが、良く考えてみるとますます腑に落ちない。
 何がセンサーに反応しているんだ!