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強欲の見積

by 唐草 [2015/02/13]



 大きな案件が転がってきた。見積を作らなくては。
 この案件、見積を書くこの段階になるまで紆余曲折いろいろあった。当初話を紹介されたときは、もっと大規模な案件だった。その後、打ち合わせを重ねたところ実はそんな作業は存在しないことが明らかになった。実に複雑なのだけれども、担当者の認識ミスで、実際は既にその作業を別会社に委託していることになっていた。詳細は書けないが、取引先が受け取っていた案件全体の見積の中にぼくへ依頼しようとしていた内容が既に含まれていたというオチ。
 まったく、なんのために呼ばれたんだか…。
 だが、話はまだ終わらなかった。ぼくに依頼しようとしていた内容の一部が高すぎるのではないかという話が出てきた。ぼくから言わせれば、まぁ妥当なお値段。ぼくが、どこかの会社に属していればまったく同じか、もうちょい高い見積を書いていてもおかしくはない内容だった。
 そこをどうにか安くできないのか?と再度打診されたのが、今回転がり込んできた案件。まったく、なんでこんなにも話がこじれているんだか。
 ぼくは途中の打ち合わせに参加しているので、その作業の見積がいくらだかを知っている。その額より少ない金額を出せば、見積が通ってめでたくお仕事にありつけるという流れが見えている。なんだか談合をしているような後ろめたさが無いわけでは無いが、ぼくにとっては好都合な状況である。
 ただこの案件、地味な上に面倒極まりない。高度なアルゴリズムを考えると言うような知的な内容では無い。泥臭い地味な変換処理を数万件単位で行うという感じだ。詳細を聞いているので、心のどこかで受けたくないなぁとも考えている。
 そこで考え方を逆にした。いくらだったら受けて良いだろうかと。
 面倒さとお金を天秤にかけて釣り合うところを考える。ボリュームが多いので1ヶ月ぐらいかかりそうな予感がある。それで2ヶ月分ぐらいお金がもらえたら喜んで引き受けるだろう。でも、それだと当初の金額を超えてしまう。どうしよう。とあれこれ考えて、強欲に任せて一枚の見積書を作成した。
 さて、どうなることやら。