by 唐草 [2015/02/20]
ちょうど1週間ぐらい前だろうか?強気の請求書を送りつけたという話を書いた。例の請求書、実は普段の見積の1.5倍の額をふっかけていたのだが、無事通った。順調に進めば、どのルータを買おうか悩んでいるとか、クリアできないかもしれないのでゲームの購入を諦めるとか書いてきたここ数回の日記がアホらしくなるようなボーナスとなる計算だ。ルータはシスコの買って、ゲームはPS4本体ごと買っても余裕だぜというような額面となっていた。
だが、断ることになってしまった。
見積を出して、依頼を受けてから断るのは、マナー違反な気もするのだが、現実的にどうしようもない状況に陥ってしまっていた。
正式な依頼となったので対象となるデータの中身を精査していた。すると、ぼくの側に明らかにされていない仕様がいくつか残されていることが発覚した。それは、どう見ても本来分業にするべきでない案件をぶった切ったせいで発生した問題。もし、すべてを一括で受けていれば問題にならなかった事案だ。これは、綿密に確認を取ればどうにか解決できるかもしれない。だが、そのやりとりのせいで多くの時間を浪費することになりそうだった。
だが、美味しい依頼をこれだけで断ったりはしない。
もっと致命的な問題が発覚してしまったのだ。
詳しくは書けないのだが、ぼくが扱うのはある業界の帳簿の移行作業だった。移行元と移行先の仕様が、驚くほど異なるので人力での移行は不可能。プログラムを書いて対応して欲しいというような依頼だった。データベースの変換プログラム自体は、そう難しいものでは無い。手元のデータベースにデータを入れて、切ったり貼ったりすればいいだけだ。
技術的にはなんの問題も無い。そう思って依頼を受けた。
ところが、フタを開けたところ問題は別のところにあった。ぼくが、その業界のことをまったく理解していないと言うことだ。取引形態が何パターンかあるのだが、それがそれぞれどういう意味なのかサッパリ分からない。取引の種類ごとにデータベースを分けてくれと言われていたのだが、そもそもどんな取引があるのか分からない。移行元のデータベースの意味が分からないし、移行先のデータベースはもっと分からない。
用語の意味と使い方が分からないので、自力で仕様書を書くことができなかった。
この状態で、ぼくの脳内にある状況判断システムが危険信号を出していた。このまま航海を進めると確実に嵐に巻き込まれると囁いている。沈むかもしれない船に乗る勇気はないし、今のぼくには船の沈没を阻止するだけの知識がない。
「ぼくがバカでゴメンね」ってメールを書いて、引き受けたお仕事を丁重にお断りするハメになった。