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旅慣れぬ

by 唐草 [2015/04/17]



 ぼくの生態は、引きこもりと呼んで差し支えない。家が大好きだし、出張するような仕事もない。旅行もあまり好きではないので、自分から計画を立ててどこかに行くこともない。
 そんな変化に乏しい生活を送っているのだが、10年に一度ぐらいの割合で、様々な理由からどうしても泊まりがけで遠くへ行かなくてはならない事態に巻き込まれることがある。
 今度の6月に大阪まで出向く事になった。仕事ではない、完全にプライベートな用事だ。この機会を逃すと、たぶん一生縁が無いであろうといった感じのイベント。そんなレアケースなので、腰に鉛が絡まっているとしか思えないほどに重い腰をあげて出かける覚悟を決めた次第だ。
 大仰に書いたが、実際は一泊二日の小旅行。大阪での滞在時間は24時間にも満たないだろう。
 こんなミニマムな旅行でも旅慣れていないぼくにとっては一大事となる。
 旅慣れていない引きこもりのぼくでも、新幹線の切符やホテルを直接取得すると正規料金のため割高になるということは小耳に挟んだことがある。賢く早めに予約をすると安くなるという知識はある。
 あるのだけれども、実際にどこでどうやって、どれぐらい前から予約をすればいいのかはサッパリ分からない。安くなるといっても、どの程度の割引が適正なのかも分からない。
 実践的な知識が皆無で、頭でっかちな感じが否めない。
 とりあえず、正規料金を調べてみる。
 東京から新大阪までって新幹線だと片道14,000円ぐらいするのか…。高いなぁ。
 と、こんなことに感心をしてしまうぐらい旅というか移動に関する知識がない。ホテルも相場がよく分からないし、大阪の土地勘もないので何を基準に選んで良いのかサッパリ分からない。安いところを選んでも、目的地から遠くて交通費が高く付いてしまっては意味がない。
 いくつかの旅行会社のサイトを見比べながら色々と考えていく。
 最終的に少人数向けのフリープランツアーというものにたどり着いた。
 しかし、このプランはなんでこんなにも安いのだろう。往復の新幹線料金とほぼ同じ料金のプランで切符とホテルが予約できる。1000円ぐらいでホテルに泊まれる計算になる。どういうカラクリが存在しているのだろうか。旅行業界の闇の深さを初めて垣間見た気がした。