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溶けてる!

by 唐草 [2015/05/22]



 また多摩川へ釣りに行くことにした。前回の反省を踏まえて少しアプローチを買えることにした。
 流れがあり、比較的浅く、川底には藻が溢れている多摩川。釣り針がたくさん付いたルアーを投げると簡単に根掛かり(針が地面に引っかかること)して、ルアーを失ってしまう。そこで、ミノー(魚型のルアー)やスプーン(スプーンのような形をした金属ルアー)の使用は諦めた。安価なゴム製のワーム(ミミズみたいなルアー)を中心に使用することにした。また、針も根掛かりしにくいようなかけ方に変えることにした。
 ルアーボックスを開けてワームを取り出そうとしたときにとんでもない物を目にしてしまった。
 ボックスにしまっていたワームが溶けていたのだ。ドロドロに溶けかかった黒い油の中で何匹ものミミズやらゴカイのようなものが混じり合っていた。もしこれがルアーだと知らなかったら悪夢のような光景だ。悪い魔女が作る呪いの魔法の釜の中のような光景だ。
 指でルアーをつまんでみると溶けたゴムのような物が指にこびり付いてくる。ヌルヌルしてつかめたものでは無い。ピンセットで1つずワームをつつまみ出していく。
 1個1個丁寧に拭いていくと溶けてしまったものとまだ無事なものが混在していることが分かった。10年近く放って置いたのでゴムの種類によって劣化の具合が異なったのだろう。溶けていたのは、ザリガニの形をしたソフトルアーだった。ハサミの一部や足が溶けた5cmぐらいの青黒いザリガニが、15cmぐらいのミミズにこびり付いている。これがゴム製のワームではなくて、本当のミミズとザリガニだったら絶対に触りたくない状態だ。
 溶けたゴムの油っぽい臭いがいつまでも鼻に残るキモチワルイ釣りの準備となってしまった。