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アメリカンな買い物

by 唐草 [2015/06/23]



 銀行でお金を下ろした帰りに本屋へ寄ってマンガを買おうと考えていた。銀行への道すがらにある書店なので、わざわざ寄るという印象はない。むしろ、1回の外出で効率良く2つの目的を果たすことができるといった具合だ。
 だが、ふとイヤな予感がした。
 銀行のカードと通帳は持っているけれど、財布を持っていないような気がした。銀行へ行くときは、ほとんどの場合お金を下ろしに行くだけなので財布を持っていくことはない。今日は帰りに買い物をする予定だったけれど、いつものクセで財布を置いてきてしまったような気がする。
 慌てて鞄の中を確認するも、予想通り財布の影も形もなかった。
 一度引き返して財布を取ってこようか?いや、それは効率が悪い。何も無一文というわけではない。手元には銀行のカードと通帳がある。下ろしたお金でマンガを買えばいい。そうしよう。
 銀行のATMで通帳記入を済ませつつ、何枚もの諭吉を下ろした。それを封筒へとしまう。
 このままマンガを買うと、ちょっと厚い封筒から万札を1枚抜いて買い物をすることになる。600円程度のマンガを購入するには大げさではないだろうか?また、まとまった額を持ち歩いていることが周囲にばれてしまう。治安の良い場所なので問題は無いとは思うが、不用心な振る舞いとも思える。
 レジで封筒からお金を出すのはやめよう。
 ぼくは、別の方法を採用した。
 あらかじめ封筒から1枚だけお札を抜いておく。そのお札をアメリカ人が1ドル札をぞんざいにポケットにつっこむのと同じように、ジーパンのポケットにねじ込んだ。財布に同じ額面を入れているときよりワイルドな感じがする。そのまま書店に直行だ。
 レジでは、ちょっと湿ってシワの寄ったた万札を差し出す。9,400円ぐらいのおつりを受け取る。おつりのお札だってワイルドにポケットにねじ込む。ただ、その作業に慣れていないのでどうにも動きに切れがない。右ポケットにお札、硬貨は左ポケットと分けてしまったが、これだとワイルドさが半減しているのではないか。
 お札をポケットに入れるのって、なんだか思った以上に落ち着かない。