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クレームの定型文

by 唐草 [2015/06/30]



 ここのところある会社のサポート業務を請け負っている。以前からサポート関連の仕事はしていたのだが、前にやっていたのはサポートチームの社内教育。今、請け負っているのはもっと現場寄りな仕事。メールでの問い合わせに対応している。
 ただ、この仕事の前提条件はかなり複雑。もう存在しない会社のサポート業務なのだ。
 契約先の会社は、海外の親会社が昨年度末に日本撤退を決めたためもう存在していない。海外の親会社なので、なんの躊躇も無く日本からすべての資金を引き揚げた。さらに親会社は日本側の元関係者との連絡も完全に絶っている。これが欧米のやり方かと感心してしまうほど素早く冷酷で事務的な幕引きだった。
 この幕引きは、日本のやり方からすると問題がある。売った物があるからには、最低限のサポートをしたい。でも、会社は既にない。残された日本側の関係者は、そんな板挟みにあっていた。
 そこで白羽の矢が立ったのが、ぼく。色々と都合が良かったらしい。
 メール対応して分かったが、問題は基本的に2つしか確認できていない。定型文2個で済むのは、ある意味楽だ。もっと丁寧に対応したいと思うが、本社との連絡はつかないし、手元に商品すらないのが現実だ。
 問い合わせる側からすると、すでに廃業した会社に連絡ができるという事実のカラクリを想像するのは難しいことだろう。こちらの台所事情なんてお構いなしに営業していたときと同じようなクレームが少なからずやってくる。
 クレームなんてぼくのテンプレ回答並にお決まりのパターンしかない。
 最頻出が「消費者センターへ訴える」というもの。見慣れているので何の感情も湧かないフレーズだったが、ここのところある興味が湧いてきた。潰れた会社を消費者センターへ訴えたらどうなるのかということ。誰か実際に行動を起こしてくれないだろうか?
 もうひとつのお決まりの文句が「誠意を見せろ」という謎フレーズ。ぼくにとっての誠意は、潰れた会社が返信をすることだと思っている。だから誠意を込めて定型文を送り返すだけ。
 もっと独創的なクレームが来ないものだろうか?