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たこ焼きを焼く

by 唐草 [2015/07/10]



 世の中には、未体験のことが山ほどある。むしろ、経験したことのないことの方が遥かに多い。自分の経験を考えると多くのことを体験したような気分になるが、そんな経験の量なんて砂浜でスプーン1杯の砂を見て満足しているのと同じようなものだろう。
 現に今日も初めての体験をしてきた。
 タイトルにあるように、生まれて初めてたこ焼きを焼いてきた。
 関西の方にとっては、当然のスキルなのかもしれない。「関西人が皆、たこ焼きプレートを持ってると思わんといて。うちにはあるけど」という言葉がまことしやかに囁かれているところを見ると、きっと多くの関西人がたこ焼きを焼けるのだろう。「皆が焼けるかどうかはしらないけれど、自分は焼ける」というような口ぶりの関西人を数名知っている。
 そんな地域によっては必須のスキルも、ぼくには縁が無かった。たこ焼きは好きだけれども、買うものであって、自分で作るものではないという考えしかなかった。
 ところが、今日食べに行ったお好み焼きはセルフたこ焼きが売りの店だった。テーブルの鉄板にたこ焼きの型が備え付けてある。お好み焼きを注文すると店員が焼いて持ってきてくれるのに、たこ焼きは自分で作れと言う妙なポリシーの店だった。
 集まったメンバーの中にたこ焼き作成経験者がいなかったので、全員が串を片手に悪戦苦闘するハメとなった。あまりのひどさを見かねた親切な店員が助け船を出してくれた事もあって辛うじて丸いたこ焼き的なものを焼き上げることに成功した。串でひっくり返すというイメージでたこ焼きをいじっていたが、どうやらこれが悪かったらしい。ひっくり返すと言うよりは回すというイメージで鉄板に対峙した方が良かったようだ。
 少し焦げた上に、欲張って具を多く入れすぎたせいで不格好になってしまったが、それなりにたこ焼きとして成立していたように思える。
 自分で焼いて初めて分かったが、近所の大玉たこ焼き屋のおばちゃんの技は相当レベルの高いものに違いあるまい。