カレンダー

2024/03
     
282930
31      

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

休講

by 唐草 [2015/07/22]



 今日は、大学の前期最後の講義がある日。だが、ぼくは早起きをすることもなく、家でダラダラしている。
 授業をサボったわけではない。
 教員側の特権である「休講」というカードを切ったのだ。
 でも、これは正式な休講ではない。実は、大学に申請していない非合法とも呼べるグレーゾーンな休講。家にいながら内心ちょっとだけドキドキしている。連絡の行き違いがあったら、ぼくが授業を黙ってサボった不良教員扱いされてしまう。根回しは万全にしてあるから大丈夫なはずなんだけれども、一番下っ端なので完全に消え去ることのできない不安がある。
 今日を休講とできた理由を言い訳がましく書いておこう。
 ぼくが担当している科目の最後の1回は、そもそも予備日として設定されている。大学の教授ともなると好き勝手に休みを取る。ゴールデンウィークを自分のスケジュールで過ごしたい教授や、学会発表の名目で海外旅行へ行く先生がわんさかいる。そんな好き勝手に振る舞う先生たち存在をあらかじめ考慮して予備日が設定されているとしか思えない。
 だが、一番下っ端のぼくは、我が儘を貫いて連休を強引に生み出すこともなければ、学会に属していないので発表もない。だから、完全にスケジュール通りに授業を進めてきた。誰もが絵に描いた餅だと思っているようなスケジュールを淡々と実現してきた。
 そのため、予備日が予備日として本当に機能することになる。誰もが予備日を授業の最終回として使おうと考えているので予備日にするべき事はなにも設定されていない。だから、ぼくは休講を選んだ。ただ、学校のルールに則って休講を選択すると、穴埋めの補講を行う義務が発生してしまう。することが無いから予備日を休講にしたのに、その補講とか無意味の極みだ。
 だから、ぼくは黙って休講を実施した。学生には「学校に確認するな」と念押しをして授業の存在をあやふやにした。これぞ、本当の自主休講。