by 唐草 [2016/02/04]
何ヶ月かぶりに髪を切りに行った。
切られているときは、黙って切られている。店主が少し話しかけてくることもあるが、ぼくは素っ気ない返事をするだけ。このやりとりからおしゃべりが好きでない客と判断してくれたのだろう。無意味に話しかけられるよりも、気持ちよく黙っていられる。
理髪店の店内では、いつもラジオが流れている。東京FMだ。
ラジオが流れていなかったら、無言であることにもう少しプレッシャーを感じてしまうかもしれない。ラジオを真剣に聞いている訳ではないが、なんとなく耳に飛び込んでくる音に救われている部分もあるのだろう。
そう考えるとラジオって絶妙の立ち位置にあるようにも思える。耳だけでいいから何かをしながら聞くことができる。むしろ作業中や移動中に聞いていることの方が多いだろう。ラジオの前で正座をしてFM放送を聞くなって話は耳にしたこともないし、そんな図は想像もできない。
視覚を使わないので、テレビやネットとは違って受動的に楽しめるという特徴がある。この特徴を活かせば、なんかテレビよりは長生きできそうなメディアに思えてくる。