by 唐草 [2016/02/08]
コーヒー豆を買いに行った。
ぼくが買う豆は決まっている。いつも「グアテマラ」だ。
店員に「グアテマラを200gください」とオーダーしたら、予想外の反応が返ってきた。
「ただいまバレンタイン限定の『エンジェル』というブレンドがあるんですけど、いかがですか?」
コーヒー豆までバレンタインに便乗かよ…。見るからにバレンタインデーとは無縁そうな男のぼくにも勧めてくるのかよ…。と呆れつつも、コーヒー豆をオーダーする全員に「エンジェル」を勧めなくてはならない店員に同情してしまった。
それにしても「エンジェル」って名前はどうにかならないのだろうか。仮にぼくが店員に満面の笑みで「『エンジェル』200gください」とか言ったら、それはそれでそこはかとなく事案の気配がするような気がするのだが。
それに「エンジェル」を買ったとしても、そのあとの会話が「『エンジェル』をお挽きしますか?」という物騒な会話になるじゃないか。音だけ聞くと「エンジェルをお轢きしますか?」にも聞こえるし。
今日までバレンタインの事なんてまったく知らなかったぼくは、コーヒー豆を買うだけなのに訳の分からない世界に引きずり込まれたような気分になってしまった。