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クリーバン

by 唐草 [2016/04/04]



 家を整理していたらB.クリーバンの『だから猫はやめられない』というイラスト集が発掘された。
 押し入れの奥にしまわれたコンテナの中に形成された古い本の堆積層の底から見つかった本なので、「発掘」という言葉が適当だろう。
 この本は、ぼくが生まれる前から家にあったらしい。幼少期のぼくは、この本に収録されたどことなく毒がある風刺画風のクリーバンの猫の絵を見て育った。
 クリーバンというと鮮やかな色づかいの猫のイラストが有名だが、ぼくの中ではペン画の白黒イラストのイメージが強い。
 ぼくは、猫が好きだ。というか、猫と一緒に育てられたので自分のことを大きな猫だと思っている。
 そんなぼくは、縞猫が大好きだ。それも、鼻筋のしっかりした猫がより好みだ。猫の顔を見るときは鼻筋ばかりをチェックしてしまう。
 改めてクリーバンの絵を見てみると、描かれているのは鼻筋の通った縞猫。完璧なまでにぼく好みの猫だ。
 きっと、ぼくの猫の好みはこの本によって形成されたのだろう。自分を猫だと思っていた幼児は、まるでヒーローかアイドルでも見るような気分で猫のイラストを眺めていたに違いない。