カレンダー

2012/05
  
  
       

広告

Twitter

記事検索

ランダムボタン

絆創膏の進化

by 唐草 [2016/05/26]



 猫と遊んでいたら手を切ってしまった。ヤツらのツメは、武器だ。それも刃物だ。人間の皮ぐらいスパッと切ってしまう。
 十分に気をつけていても興奮して狩猟本能に火が付いてしまった猫と遊ぶのはリスクが付きまとう。もっとも狩猟本能を刺激しているのはぼく自身なので、ツメを立てられたとしても猫に非はない。
 引っかかれることは日常茶飯事だし、猫のツメの構造を理解しているので流血するのは稀だ。でも、今日はその稀なケース。右手の親指の付け根をやられてしまった。少し血がにじむ切り口は、まるでカミソリで切ったように鋭い。狩猟動物の完成された機能に感心してしまう。
 紙で切ったときのようにヒリヒリと痛む。
 絆創膏を貼っておこう。
 薬箱に入っていた絆創膏は、ぼくが知っているものとは異なっていた。
 絆創膏と言えば、肌色の粘着テープの中央にガーゼがくっついるもの。そんなイメージだろう。
 そんなものはぼくの目の前にはなかった。半透明の丸いゴムのようなシートが入っていた。BAND-AIDのキズパワーパッドとかいう品らしい。
 キズに当てるガーゼなんかないし、絆創膏のすべての部分が接着面となっている。接着面はフラットで通気口のような穴もない。貼るとしなやかな伸縮性で皮膚の一部のように体に馴染む。
 知らないうちに絆創膏ってこんなにも進化していたのか。安売りの昔ながらの絆創膏ばかり買っていたので、完全に時代に取り残されていた。