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金庫の扉

by 唐草 [2016/07/26]



 今日は、銀行へ行った。
 銀行へ行くことは珍しい事ではない。最低でも1ヶ月に1回は行っている。
 でも、それはATMを操作しに行くだけ。窓口での対応をしてもらうことは滅多にない。振込とかの窓口業務は、一番近い郵便局で済ませてしまう。
 今日は、どうしても銀行の窓口で処理しないといけない要件があった。しかも、普段行く支店ではなく、ちょっと大きな支店へと行くこととなった。
 整理券を受け取って窓口の前にある椅子に座ってボーッと窓口の奥で働く行員たちの動きを見ていた。おもしろいものでは無いが、他にすることがないときの暇つぶしにはなる。
 行員が奥の小部屋へと消えた。その動きを目で追っていたら、ある巨大なものの存在に気がつく事が出来た。
 金庫室の扉が開いていた。
 巨大な鉄扉は、フィクションの世界で見るものと寸分違わなかった。50cm以上はゆうにある分厚い扉。扉の側面には何本もの太い棒が埋め込まれている。鍵を閉めるとあの棒が壁側の穴に刺さるという訳か。あんなに丈夫そうなのにフィクションの世界では、易々と破られてしまう。
 本当に絵に描いたような金庫の扉であった。
 銀行員にとっては毎日見る重い鉄扉でしかないだろう。でも、退屈を持て余していたぼくには、その鉄扉がフィクションの世界から飛び出してきた存在にしか思えなかった。