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食器戸棚を運び出す

by 唐草 [2016/08/15]



 我が家のリフォームも、あと1週間でスタートだ。かなり大規模なリフォームとなっている。某番組のような立て替えまがいのリフォームではないが、1階のすべての部屋に手を入れることとなる。
 大規模なリフォームなので、準備もまた大規模なものとなっている。
 1階に置いてあるすべての物を運び出さなくてはならない。食器や鍋などの生活必需品はもちろんのこと、壁に掛けてある装飾品から冷蔵庫のような大物家電まですべてを運び出す必要がある。毎日少しずつものを梱包して運び出しているのだけれども、ハッキリ言って引っ越しのような状態となっている。
 部屋は段ボール箱で溢れかえっている。この状況を喜んでいるのは、段ボール箱が大好きな猫たちだけだ。
 今日は、とりわけ大きな仕事が待っていた。
 30年にわたって使用してきた大きな食器戸棚を部屋の外へと運び出すという力仕事に取りかかった。この食器戸棚は、今の家に引っ越してきて以来、一度も動かしたことがない。まるで備え付け家具のようにリビングに鎮座してきた。
 でも、いよいよお役ご免となった。
 古い家具なので妙に重い。180cm以上ある背の高い戸棚をそのまま運べるような力は、ぼくには無い。棚の中の段やガラス製の扉、引き出しなどを外して徹底的に軽量化していく。それでもまだまだ重いが、どうにか部屋の外へと引きずり出した。
 正面から見ると一見何の遜色もなく見える食器戸棚であったが、やはり30年の歳月は大きかった。猫が乗る戸棚の上部は黒く汚れて合板が割れていた。ガスコンロに近かった側の背面は、まるで水に濡れた紙のようにたわんで波打っていた。
 そして何よりすごかったのが、積もりに積もった埃の層。引っ越してきて以来の20数年分の埃は、もはや土となって地層をなしていた。毎日掃除している部屋なんだけどなぁ。見えないところでは恐ろしいことが起きている…。