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いらすとや

by 唐草 [2016/10/02]



 フリー素材配信サイト『いらすとや』が猛威を振るっている。
 デザイン界隈に生きる人間として、まずい状況になってきていると感じている。
 『いらすとや』さんが提供する素材は、どれも素晴らしい。万人に受け入れられるような柔らかなタッチ。視認性の高いカラフルな色図使い。そして、圧倒的に豊富なシチュエーションの数。これがフリーで提供されていることが信じられない。
 ぼくも数度利用させてもらったことがある。イラストの量にも質にも大満足で、ぼくの作った成果物も良い具合に仕上がった。
 それなのになぜ『いらすとや』さんの台頭を危惧しているのか?
 一部で中堅未満のイラストレーターの仕事を奪っているという声もある。確かに、無償で高品質なものが容易に手に入るとなれば、職を失う人が出てくることは理解できる。確かに、これも大きな問題だ。
 でも、ぼくが危惧しているのは、雇用のことではない。
 このままだと日本中が『いらすとや』さんのイラストで埋め尽くされてしまうのではないかということを心配している。
 『いらすとや』さんの提供する素材は素晴らしいものだが、このまま利用が進むとデザインの多様性が失われてしまう。見るものがすべて画一化されてしまう。それは、退屈な世の中だ。なんとしても避けたい状況である。
 この状況を打破するには、『いらすとや』さんと同等のクオリティーを持つ別のタッチのイラストを無償で提供するしかないように思える。オープンソースプロジェクトのように多くの人が集って、別のフリー素材集を作るべきタイミングなのかもしれない。
 別に『いらすとや』さんを倒そうとは思っていない。ぼくが守るべきだと感じているのは、多様性の保護。
 『いらすとや』さんには、「多様性が失われることを危惧する売れないデザイナー」のイラストなんてものもあるのだろうか?ありそうに思えてしまうのが、『いらすとや』さんの恐ろしさ。