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不仲の末に

by 唐草 [2016/12/05]



 ぼくの担当している授業は、グループワークが多い。大学では、知識を得るだけではなく、自発的に自分の考えを示したり他者と協調するコミュニケーション能力を育むことが求められている。その結果、多くのグループワークが実施されている。
 ただ、グループワークにはリスクもある。他人任せで自分の仕事をまったくしないフリーライダーがいたり、コミュニケーション能力0としか言えない人物がグループに紛れ込んでいるとやっかいなことになる。また、強すぎるリーダーシップも悪い結果を引き起こすことがある。
 「チームマネジメントも課題の内だから頑張ってねぇ〜」とお気楽そうに指導しているが、密かに活躍ぶりを厳しく査定している。
 今期は、どうもうまく機能していないグループがいくつかある。
 今日も授業後に誰もいなくなってから、ぼくのところに暗い表情で来た学生がいた。
 ただ、この学生まったく喋らない。数分間黙っていて、ようやく消え入りそうな声で「メンバーとうまくいっていない」と告げた。
 まぁ、そう言ってくることは予想できていた。うまくいっていないとされるメンバー側から、この学生とは連絡がとれないとの訴えが来ていたからだ。
 さて、まったく喋らない学生と強いリーダーシップを発揮して遅れているメンバーを容赦なく切るリーダーのどっちが悪いのか?
 正直よく分からん。
 説教をするつもりでは無いのだけれども「なんか言ってくれなきゃ、何も分からない。もし成果物を無視されているなら、君の成果物を提出してくれ。喋るの苦手ならメールでいいから」と言っていたら、驚くべき展開となった。
 なんと、静かに泣き出したのだ。
 おいおい、二十歳にもなって泣くなよ。女子だからって泣いたってダメだぞ。と言うか、ぼくは感情に訴える人間が大嫌いなんだよ。
 困ったというか、なんかイライラしてしまった。