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かびた肉を食う

by 唐草 [2017/01/22]



 今日は、2ヶ月ぐらい放置されてカビの生えた肉をわざわざ高い金を出して食べてきた。
 こう書くと、最低最悪で食中毒まっしぐらな食事を自ら進んで食べているようにしか聞こえないことだろう。
 その印象は、間違っている。肉がカビにまみれていることは事実だが、それを食べかけのパンに生えるようなジメジメしていそうなカビだとは思わないで欲しい。
 今日食べてきたのは、いわゆる『熟成肉』という肉だ。
 解体した後、乾燥した冷蔵庫のような場所でじっくりと熟成をさせた肉である。乾燥環境とはいえ、長期間にわたって保管をしているので表面にはカビが生えてしまう。でも、そのカビた部分を食べるのではない。お正月のお餅のように、カビを取り除いた部分をありがたく頂くのだ。
 ぼくらは、赤身と霜降りの2種類の肉をオーダーした。
 出てきたものは、ステーキと言うよりはローストビーフに近いものだった。肉の表面はこんがりと香ばしく焼けているが、中は赤いまま。でも、血が滴るような生という訳ではない。鉄板で焼いてからオーブンで火を通したといった具合だ。
 贅沢にも赤身と霜降りを食べ比べてみる。
 一般的に霜降り肉の方が高級だと言われている。ただ、今回のような食べ方の場合はそうとも言い切れない。霜降りは、肉を食べていると言うより脂を食べているという印象が強くなってしまう。どちらも美味しいことは間違いないが、一方しか食べられないというのであれば赤身を選んでしまうかもしれない。
 どちらがより美味しいかという贅沢な悩みを抱えることは、それ自体が至福の一時である。それは間違いない。