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パクチーの小ビン

by 唐草 [2017/03/01]



 コーヒー&輸入食材を扱う『カルディ』で、ついに噂のアレを発見してしまった。
 ここのところカルディの出店攻勢は、目を見張るものがある。ぼくの生活圏であるJR中央線だとほぼ各駅にあるような状況だ。ぼくがコーヒーを買うようになった数年前は、大きな駅にしかないような店だったんだけどなぁ。今じゃ、コンビニのようだ。
 ぼくはカルディでコーヒーも買うけれど、一番の目的はパクチーラーメン。それは、乾燥パクチー入りのインスタント麺。生パクチーに比べれば味も香りもパンチも弱いけれど、パクチー欠乏症を起こした体には染み渡るものがある。そのままで食べても美味しいけれど、ちょっとレモン果汁を入れるとよりエスニック感が増す。
 今日も両手いっぱいにパクチーラーメンを抱えてレジに向かおうとしたときだった。噂のアレが詰まった小瓶を見つけてしまった。
 『パクチーペースト』だ。
 見た目は、イタリアンのジェノベーゼソースの瓶のようだ。緑色のドロッとしたジャムのような青汁が、ビンの口までみっちり詰まっている。
 このペーストを使えば、どんな料理でもたちまちパクチー味になるらしい。すべての料理の国籍を破壊して、謎のエスニック料理に変えてしまう魔法のような緑色のペースト。
 パクチー好きとして、これは外せない。
 だが、ちょっと待って欲しい。
 確かにパクチーは大好きだ。でも、すべての味がパクチーになってしまって良いのだろうか?トーストも卵焼きもご飯も味噌汁もパクチー味。それは、料理への冒涜ではないだろうか?パクチーがより引き立つもの(例えばラム肉)と共に食べてベストな状態のパクチーを味わうのが真のパクチー好きのあるべき姿なのではないだろうか?
 そんなことをパクチーラーメンを両手に抱えながら考えていた。逡巡することしばし。ぼくは決断した。
 容易な手段でパクチーの沼に溺れるのは、パクチーの本質を見誤る。だから、ペーストは買わない!それに、一度買ったら麻薬のようにはまってしまいそうだし。