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セルフ金縛り

by 唐草 [2017/03/11]



 寝ていたら体が動かせないような状況に陥ってしまって目が覚めた。心霊現象を信じているならば、金縛りにあったと言ってしまっていたかもしれない。
 しかし、ぼくはまったく心霊現象を信じていない。
 動かない体で何故自分が動けないのかを考え始めた。
 以前だったら猫が原因のことが多かった。布団の上に我が物顔で乗る猫。絵としてはかわいいかもしれないが、布団の中で寝ている人間からすると体の上に漬け物石を置かれているのとなんら変わりがない。微笑ましい光景とは裏腹に、悪夢を見るほどの苦痛を味わうことになる。
 ただ、今日は猫が原因ではない。今の猫は、どういう訳かぼくの布団の上には乗ってこないのだ。
 猫でないなら原因は何なんだ?
 目覚めるにつれて、自分がどういう状況になっているのかが分かってきた。掛け布団がぐちゃぐちゃになって足に絡みついていた。
 ぼくは、寝相が悪い。寝返りを何度も繰り返すので、ベッドの上からすぐに布団が落ちてしまう。夏ならそのまま寝ているのだけれども、冬は寒い。そのため、寝ながら落ちた布団を引き揚げている。ただ、引き揚げる度に布団はぐちゃぐちゃに乱れていく。起きている時にベッドをギシギシ鳴らすほど動いたってこんな風にはならないだろうと言うほどに乱れていく。
 最終的に布団が足に絡みついて、出来の悪いミイラみたいになっていく。
 こうして体が動かせなくなっていくのだ。
 今日は、特にひどかった。3枚の掛け布団が、複雑に絡み合ってぼくの体を縛り付けているようだった。寝相の悪さが、ぼくをまるで金縛りのような状態に追い込んだのだ。