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7.5kgを抱えて

by 唐草 [2017/05/14]



 我が家には、三ツ矢サイダーの250ml缶が常備されている。梅酒や蒸留酒を割る時に使ったりもするが、大半はサイダーとしてそのまま飲んでいる。冬でも飲むが、暑くなればなるほど消費量は増える。
 1.5リットルのペットボトルを買うという選択肢はぼくの中に無い。炭酸飲料は、大瓶で買ってはいけない。飲みきる頃には炭酸がすっかり抜けて、ただの砂糖水になってしまうからだ。だから飲みきりサイズの250ml缶を選んでいる。小さな缶なのでバラ売りで買っていては間に合わない。30本入りのケースで買っている。
 今日は、ウィルキンソンの辛口ジンジャーエールを買おうと近所のディスカウントショップに徒歩で買い物に向かった。散歩ついでに500mlペットボトル4本ぐらい買うつもりだった。
 だが、店頭にぼくの目を惹くものが並んでいた。
 いつも買っている三ツ矢サイダー30本ケースが特売で売られていたのだ。
 正直言って、値引き額はたいしたことはない。それよりも重要なのは、今我が家の三ツ矢サイダー備蓄が底をついているということだ。30本入りケースを売っている店は、多くない。いつもちょっと離れた大型店舗で買っている。まさか、自宅から徒歩圏内で買える店があるとは思いもよらなかった。
 この発見は、貴重な巡り合わせだ。ジンジャーエールはやめて、サイダーを買って帰ろう。
 250ml缶が30本、つまり約7.5kgのケース。店で持ったときは、そんなに重く感じられなかった。でも、1kmもないはずの家までの道のりは、いつも以上に長く感じられた。
 ぼくが歩くリズムに合わせて、ケースの中の液体がシンクロして音を立てる。ぼくの歩みが、タップンタップンという規則正しいビートを刻む。炭酸の缶をこんなに揺らしてしまって平気なのだろうか?そんな不安を感じても既に手遅れだ。
 思いつきで買ってしまった7.5kgの重さを腕に感じながら、タップンタップン音を立てて歩いている。