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42を求める時間

by 唐草 [2017/05/19]



 コンピュータの進化は、すさまじい。CPUやGPUなどの演算ユニット単体での進歩もめざましいものがあるが、並列化による高速化も目を見張るものがある。
 一昔スーパーコンピュータといえば、専用設計の超高速CPUを搭載した専用機というイメージがあった。天才数人で計算するようなものだ。でも、それも過去の印象。今は、汎用演算装置を何十万台も組み合わせて並列処理を行っている。天才を少数集めるのではなく、凡人(とは言え過去の天才より賢い)を集めて人海戦術を行うようなものだ。
 今後は、どんな速度で進化していくのだろう?
 昔、ムーアの法則と呼ばれるコンピュータ業界の神話のようなものがあった。それは、1年で2倍の性能に進化していくという2次曲線的成長を予想するものであった。
 確かに2000年代前半ぐらいまでは、法則にあてはまっていた。残念ながら今は、進化の速度が衰えてきて1年で2倍までは成長していない。それでも、1年間の進歩はすさまじいものがある。最新製品があっと言う間に過去のものになっていく。
 これから先、10年間でコンピュータの性能が10倍に進化していくと仮定しよう。つまり20年で100倍の進化だ。100倍というとそんなバカなと思うかもしれないが、20年の格差というのはゲーム機で考えるとスーパーファミコンとPS4を比べているようなもの。100倍だって控えめな仮定に過ぎない。
 で、宇宙の心理に迫るシミュレーションプログラムが完成したとしよう。最終的に42という自然数を返すことになるそのプログラムは、今のコンピュータだと1万年演算に時間がかかるとする。
 もし、今計算を始めたらぼくは絶対に結果を見ないで死ぬことになる。
 計算開始を10年我慢すれば、計算時間を1000年まで減らせる。20年待てば100年。30年待てば10年で終わる。40年なら1年で、50年なら36日といった具合だ。
 こうやって列挙してみると、30年待ってからプログラムを動かすのがもっとも素早く解にたどり着けることになる。解を得るまでに40年なら、ギリギリこの目で見届けられるかもしれない。そして、42という結果を見てショック死するのも悪くない。
 今のコンピュータの1万倍早い演算装置が活躍する未来って、いったいどんな世界なんだろう。