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咳止めの効果

by 唐草 [2017/07/06]



 風邪をひいてから2週間経過した。体のだるさもすっかり消えたし、鼻水もピタッと止まっている。しかし、いまだに咳だけがしつこく続いている。いつだって風邪をひくと咳だけが残ってしまう。
 職業柄どうしても人前で長時間喋らなくてはならない。しかし、喋ると咳が出てしまうし、咳が出てしまうと喋ることができなくなる。咳は、本当にやっかいな存在だ。
 自力で咳を止めることは、不可能に近い。こう言うときは、素直に薬に頼るのが一番である。
 咳がひどくなった先週から咳止めを服用して教壇に立っていた。だが、正直薬の効き目が実感できないでいた。用法用量を守って医者で処方された薬を飲んでいるというのに、やはり咳が出てしまう。それに咳止め薬の影響なのか、異様に喉が渇いてしまうのも不快だった。
 あまり効果の期待できない薬をこれ以上飲んでもしかたがない。と言う訳で、今日は薬を飲まずに教壇に立った。
 そして、薬の効果を痛いほど理解することになったのだ。
 もう、全然しゃべれない。ちょっとでもしゃべるとゴホゴホと咳が続いてしまう。まるで、演技の下手な役者が演じる結核患者のよう。わざとらしい咳が、何度も何度も繰り返される。
 咳き込みながら理解した。
 昨日までのぼくも、確かに咳をしていた。だが、その数は今日よりずっと少なかった。あれは、ちゃんと薬が効いていて咳の数を抑えていたのだ。薬が効いていなかったわけではない。
 それなのに薬の効果に疑問を感じて勝手に服用を止めた結果がこれだ。止めどなく、まるで何かにむせているように咳が続く。そう、ぼくは薬でも完全に抑えきれないほど咳が出る状態だったのだ。薬が切れて、初めて己の症状を理解する。