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今年最初で最後の花火

by 唐草 [2017/08/27]



 夏の楽しみと言えば、花火。だが、今年は悪天候続きで花火を見に行けていない。
 気が付けば、すでに8月最終週。ぼくが毎年見に行っている花火大会も今日が最後。今日を逃したら来年までお預けだ。このラストチャンスを逃すわけにはいかない。
 天気予報を見る限り雨の予報は出ていない。いける。今日は最後にて最良の花火日和だ。
 早めに夕飯を済ませてチャリに跨り地元民の穴場である山の上へと向かった。
 午後7時を過ぎるとすでに辺りはすっかり夜のとばりに包まれている。夕日の気配はどこにもない。風は涼しいと言うには少し肌寒い。もう日が落ちると夏の気配は消えてしまう時期なのだ。夜空に浮かぶ三日月を目にすると秋の空気に包まれている感覚にさえ囚われてしまう。
 穴場に着くと予想以上の人出だった。最後だからなのか、それともぼくと同じように見る機会に恵まれなかった人が大挙しているのかは分からない。でも、秋のような風に負けることなく大勢が集まっていた。
 定刻通りに花火が打ち上がる。周りから、様々なシャッター音が聞こえてくる。スマホのカシャッという嘘っぽい音もあれば、一眼デジカメで連写撮影している機械音まである。ぼくも数枚撮影を試みたが、クソみたいな低スペックカメラでは花火を捉えることはできなかった。それに、すぐに気が付いた。わざわざ会場まで足を運んでいるというのに、何で小さなスマホの画面を眺めてなくてはならないんだ。ここには、大空を眺めるために来たのではないか。
 スマホをしまってゆったりと花火を見物した。花火鑑賞の醍醐味は、やはり音。花火炸裂の衝撃が体を突き抜けていくような感覚は会場近くでないと体験できない。今年は1回だけになってしまったが、どうにか最後の最後に花火を楽しむことができた。
 そう言えば、花火大会中にちょっとした騒ぎがあった。ぼくらが鑑賞している場所の上空に赤と緑の光を発する物体が微動だにせず浮かんでいた。まるで星のように動かない。その光の正体が分からずに広場は、ちょっとだけざわつきに包まれた。誰もがUFOを期待したのだろう。ぼくもちょっとだけ期待した。でも、光の正体はどうやら大型のドローンのようだった。花火を横から見てるのか。まったく、人騒がせなヤツめ。