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栗なら良いのに

by 唐草 [2017/10/27]



 ベランダに出たら栗の花のようなくさい臭いが立ちこめていた。「栗の花のような」と書いたが、栗の花そのものだと言っても差し支えないほどに臭い。生臭さに近いような、刺激臭ではないものの、それでいて息が詰まるような胸がムカムカするような臭さだ。目を凝らしてみると蝿が飛び交っている。くさいのはぼくの錯覚ではないようだ。
 臭いの発生源は、すぐに分かった。
 我が家の庭木だった。1ヶ月ぐらい前にちょっとだけ枝を切ったあの木だ。毎週少しずつ枝を落としていく予定だったのだが、台風などの悪天候に阻まれて手を付けられないでいた。ぼくが雨に負けている間も木は元気に成長を続けた。我が家の木の成長ぶりを見ていると砂漠の緑化など数年で完了しそうに思えてくるし、栄養もなにもあたえていないのに茂っていく枝葉を見ていると二酸化炭素だって数年で底をつくのではないかと思えてくるほどだ。
 雨続きの天候のせいでぼくののこぎりから逃れた庭木は、2階のベランダを越えるほどの高さまで伸びて、ついに花をつけた。その花が臭いの発生源である。こうなる前に切りたかったのだが、今年は完全にぼくの負けである。天候を恨むしかない。
 花と書くと美しいものを想像してしまうかもしれない。しかし、木の先端に付いているものは華やかさも何も無い。開く前のススキの穂のようなものだ。花と形容することがためらわれる容姿である。
 臭い上に見た目も悪い。もう、最悪以外の何ものでもない。
 栗の花は臭いが、その後に実る豊かな実のおかげで人と共存する植物としての市民権を認められている。だが、我が家の木はくさい花を咲かせるだけで実りはしない。くさい臭いに引き寄せられどこからともなく蝿が集まってくるだけである。
 あぁ、くさい!

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