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マフラー:観念編

by 唐草 [2017/11/26]



 3部構成ならハッピーエンドで終わりたいものだ。世の中のフィクションの多くは、大団円を迎えて幕を閉じる。
 でも、あいにくぼくの身に降りかかった小さな物語は、三部構成にしたってハッピーエンドは迎えないようだ。だからと言ってなにもせずにいるのは、もどかしい。徒労だと分かっているのだけれど行動を起こさずにはいられなかった。
 今日もまたマフラーを探すために家を出た。
 風の強い日に落としたマフラー。それも3日も前に落としたマフラー。さらに昨日1度探したマフラー。そんなものが今さら見つかるわけもない。それはよく分かっている。でも、宝くじだって買わなきゃ当たらない。それと同じで、もし奇跡が起きるとしたら、それは行動を起こした者だけにもたらされるものだろう。
 と言う訳で、駅までの片道3kmを今日は歩いて探してみることにした。
 もし親切な人がぼくのマフラーを見つけたらガードレールやフェンスに結んでおいてくれているかもしれない。そうじゃなくても、濡れて泥を被ってボロぞうきんのようになって落ちているかもしれない。自転車で通っただけでは見落としてしまうようなものでも、歩きでなら見つけられるかもしれない。そう思って、いやそう願って歩くことにした。
 歩いたのは駅までの通勤経路。もう十数年使っている通い慣れた道だ。いったい今までに何百回通ったのだろう。
 でも、すべての行程を歩いたことはタダの1度もなかった。通るときは、ほぼ自転車だ。あとは、天気の悪いときに稀に車で通ることもある。しかし、1度だって自分の足で全行程を歩いたことはなかった。
 改めて歩いてみると様々な発見があった。特に不審者のようにキョロキョロと周囲を見回しながらものを探していたせいもあり、普段はまったく目に入っていない路地や建物が存在していることに気が付かされた。自転車で通るときとは、まるで風景が違う。自転車で走っているときは縦方向しかものが見えていない。歩いてみて横の広がりを強く感じた。
 見慣れた風景から多くの発見をした日曜の午後。しかし、マフラーは見つからなかった。でも、やることはやった。これで諦めがつくというものだ。

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