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擬獣化の森

by 唐草 [2017/12/06]



 タブレットの電池の減りが早い。原因は、間違いなくポケ森だ。拘束時間が短いゲームなのでちょっとでも空き時間があると遊んでしまう。最近のお気に入りは、授業終了後に講師室でコーヒーを飲みながらポケ森で一息つくことである。
 どうぶつの森には、さまざまな動物が住人として登場する。犬や猫と言ったペットとして馴染みのある動物はもちろんのこと、牛や豚と言った家畜と呼ぶ方がふさわしい動物も登場する。哺乳類だけにとどまっているわけではない。鳥も何種類かあるし、蛙までいる。なお、昆虫と魚類は捕獲対象なので住人には登場しない。
 一般的にどうぶつの森は、擬人化されたどうぶつと触れあうゲームと見なされている。だが、その認識は正しいのだろうか?
 どうぶつたちは、皆2足歩行で歩き回り、人語を話す。火も道具も人間のように扱うことができるし、衣服も身につけている。顔の見た目以外に動物的な要素はない。ライオンの住民がウサギの住民を喰いたいとか物騒な発言は出てこないのである。なにより、唯一の人間であるプレーヤーを見てもなんの驚きも示さない。
 某人気動物アニメのようなフレンズ的な関係なのだろうか?
 ぼくは、そうは思っていない。むしろ一般的な認識とは逆にどうぶつの森の世界観を捉えている。
 住人は動物ではなく、外見を動物に例えられた人間だと思ってゲームを楽しんでいる。分かりにくいと思うので、ひとつ例を出そう。
 皆さんの身の回りに「犬っぽい」と呼ばれている人はいないだろうか?見た目や振る舞い、性格から犬らしさを醸し出す人がいる。同様に鳥っぽいとか熊っぽいと呼ばれている人はいないだろうか?そういう動物っぽい雰囲気の人をそのまま動物に置き換えたのが、どうぶつの森の世界。ぼくはそう考えている。鳥獣戯画と同じである。
 動物を人のように描くことを擬人化と呼ぶのであれば、どうぶつの森はその逆。擬獣化とでも呼ぶべき世界なのではないだろうか?