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小さなロータリーの正体

by 唐草 [2018/01/07]



 近所にある線路沿いに昔から気になるものがあった。
 線路に沿って雑居ビルが建ち並ぶありふれた光景にはなんの不思議もない。注意深く一軒一軒の建物を見ていかないと、まるでコピペされたようにさえ見える無個性な街並みだ。そんな街並みに似つかわしくないものが1つだけある。雑居ビルに面した通りに1ヵ所だけ小さなロータリーがあるのだ。幅20mぐらいの小さな小さなロータリー。T字路はいくつもあるが、ロータリーになっているのはこの1ヵ所だけである。
 ロータリーがあるのが、駅前ならなんの不思議もない。でも、そうじゃないから不思議なんだ。
 ロータリーがあるのは、駅から300mぐらい離れた場所。商店街の外れで、あまり活気のないエリアだ。踏切があるわけでもないし、ロータリーの前にあるビルに特殊な店舗が入っている訳でもない。バス停すらない。ただのT字路で特筆すべきものはなにもない。無個性な街並みにはそぐわない唐突なロータリーである。
 なんでここだけロータリーがあるのか長らく不思議だった。
 その謎の答をついに知ることができた。別に答を探していたわけではなかったのだが、答の方がぼくの方に向かってやってきてくれたようなものだった。
 答は市報のお正月特別号に掲載された市の歴史コーナーにあった。
 なんとロータリーのあった場所には、駅があったそうだ。もう50年ぐらい前の話らしい。その後、町の発展にあわせて駅の統廃合が行われていき、新しい駅が現在の駅に作られ古い駅は役割を終えた。駅舎は完全に撤去され雑居ビルに姿を変えてしまったが、道路だけは生き延びた。その結果、なにもない雑居ビルの前にロータリーだけが残っているという奇妙な街並みが生まれた。ということらしい。
 『ブラタモリ』で妙な地形は、古い川や街の痕跡ということをよく説明していた。その典型みたいなものが身近にあったとは驚きである。
 駅の痕跡を探しにロータリーまで足を運んでみたが、駅があったことを知っていても痕跡の1つすら見いだすことはできなかった。

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