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AIがツボをつく

by 唐草 [2018/01/10]



 思い出し笑いですら声に出してしまうほど笑いのツボにはまったのって相当久しぶりな気がする。これほどまでぼくの笑いのツボを鋭く、そして深く着いてくるネタに出会えてぼくは幸せだ。
 ぼくにここまでいわせるほどのネタを提供してくれたのは、あるAI。
 ついに人工知能が人を越える笑いを作り出せるようになったのかというとそう言うわけでもない。本来の意図とは異なって、図らずも笑いを提供してくれた。しかも、ぼくが最も好きなタイプの笑いだ。
 人気ファンタジー小説『ハーリー・ポッター』の続編をAIに書かせるという研究が海外で行われたとニュースで報じられた。大きく取り上げられていたのでニュースサイトで目にした方も多いだろう。
 実験では、『ハーリー・ポッター』全巻のテキストデータをAIに入力。解析させた後、予測変換AIを利用して新たな文章を紡がせたそうだ。
 結果は大失敗だったとニュースは告げていた。ニュースには失敗例がいくつか記載されていたが、その内の1つが完全にぼくのツボだった。
 ハリーが7ヶ月間階段を落ち続けるという内容が、ぼくを笑い死に寸前まで追いやった。
 このカオスな感じがたまらなく好きなんだ。想像してみてほしい、大人になったハリーが魔法を使えるのにも関わらず無抵抗のまま階段を落ち続けるという間抜けな場面を!それも7ヶ月。そんなに落ちたら死ぬだろう。まるで、出来の悪いゲームのバグに出くわしたかのような展開である。偉大な魔法使い(原作未読だし、映画も見てないんでよく分からんが)が、なんという醜態をさらしているのだろう。
 意味理解や人物像の認識があったら絶対にこんなカオスな文章を書くことはないだろう。そういう人間にとって正しいとされる理解をすべて無視して言語のつながりだけを追った結果、そこに人知では理解できない組み合わせが生まれる。機械の認識と人間の認識のギャップが、ぼくに腹の底からの笑いをもたらすのだ。
 ぼくは昔ニュースのヘッドラインを形態素解析してランダムに入れ替える「時々カオスジェネレータ」というクソプログラムを書いて笑っていたが、それとまったく同じ質の笑いである。ぼくは意味の崩壊がたまらなく好きなんだよ。
 ガンバレAI。ぼくに笑いをもたらしてくれ。