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大切なのは大きさ

by 唐草 [2018/01/12]



 変な夢を見た。もっとも寝てる時に見る夢の大半なんて現実離れして不可解なものがほとんどだが。
 夢の中のぼくは、田んぼの脇に止まった車に乗っていた。田んぼのある風景は、どことなく祖父母の家の風景に似ている。田んぼに目を向けると鮮やかな光が飛び回っている。まるで蛍のように明滅を繰り返している。
 こう書くと幻想的な里山の風景、在りし日の日本の姿とも聞こえるかもしれない。だが、夢の中のぼくが目の当たりにしていたのは、そんな牧歌的な風景ではなかった。
 田んぼの上を飛び交う光は、LEDのようにどぎつい赤と青。まるでクリスマスツリーの電飾が舞っているようだ。そんなどぎつい光を振りまいているものの正体は蛍のような虫だった。
 だが、やたらとでかい。体長は20cmぐらいありそうに見える。ちょうどテレビのリモコンぐらいのサイズだ。アンバランスなまでに細い6本の長い足が生えたリモコンを想像してほしい。そんな巨大なものがブンブン飛び回っているし、車の近くにも降りてくる。尻の先は、人工物にしか思えない光を湛えている。
 ものすごくキモチワルイ光景だった。その場所から移動しようと車を出そうとするが、巨大な虫を轢き潰すしか道はない。あんな大きなものを潰すのは嫌だなぁと思ったところで夢は終わった。
 話を現実に戻そう。蛍は、儚げな光で我々を魅了する虫だ。夏の到来と自然の神秘を感じさせてくれる。
 だが、ぼくが見た夢のように光の色が原色だったら今日のように尊ばれなかっただろう。また、20cmもあったら害虫として駆除されていたかもしれない。「蛍の魅力って、あの小ささにあるんだろうなぁ」としみじみ感じた目覚めだった。