by 唐草 [2018/03/16]
ある資料が必要になったので、その資料のIDでググった。本当は配布元のサイトにアクセスして、そこで検索を行うのが正面玄関からの正しいアクセスなのだろう。でも、ぼくはその資料がどこで配布されているかを知らない。「たぶん、ググれば出てくるだろう」ぐらいのいい加減な認識しかない。
でも、そのあやふやな認識で十分だった。Google先生は、なんでも知っている。おかげでぼくの目的は数秒で果たされた。
配布ページには、ぼくの本名がばっちり掲載されていた。お仕事の一環なので、やはり本名が前面に出てしまうものなのか。冷静に考えれば当然のことなのだが、ぼくの住む世界とは違うのでどうも違和感がある。技術支援をしただけなのにこうも前面に、それも主役の1人のように名前が掲載されるものなのか。
普段裏方に徹していることが多いので、Web上に自分の名前が表示されているとどうも落ち着かない。別に悪いことをしているわけでもないのに…。
ふと、悪魔がぼくの耳元で囁いた。
「エゴサーチしてみなよ」
ぼくは、FLASHゲームを公開しているときにファンからの暖かい言葉もいただけたが、それと同時に口汚い罵詈雑言も浴びせられている。数で言えば、良いことも悪いことも同じぐらいなのだが、悲しいことに悪い評価の方が圧倒的に記憶に残っている。当時は、胃の上の方に冷たいガラス片が刺さったような感覚を何度も味わったものだ。おかげで荒らしとか煽りには強くなったけど。
そんな過去があるので、ぼくは十年来エゴサーチをしたことがなかった。ネットでは「カラクサラボ」名義でしか活動していないけれど、本名を含めて一切のエゴサーチをしていない。
だが、まったく違う世界に掲載された自分の名前を見て久々に好奇心が湧いてきた。
ぼくの本名は、ちょっと変わっている。名前が名字的な感じなのだ。例えると「佐藤 田中」みたいな名前。同姓同名は極めて少ない。だから検索結果は、ほぼ間違いなくぼくの名前として表示される。
検索結果は、自分でも驚くようなものだった。なんか、すごそうじゃん。驚きの結果に、語彙力が乏しくなるほどだ。
なんの分野の話か分かる人だと、きっとぼくの感想は奇異に思えるだろう。そうなのだ、ぼくは奇異な形で寄与している。むしろ寄生という方が適当かもしれない。