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水道使用量の謎

by 唐草 [2018/05/19]



 先日、水道の検針があった。水道の検針には驚かされることが多い。検針員は、まるで忍者のように音もなく敷地に入りこんで手早くチェックを終えている。検針員が作業をしている姿をこの目で見たことは無い。検針員の存在に気が付くのは、いつだって作業を終えて水道メーターの水色のフタを閉じるときのバタッという鈍い音がしてからだ。湿ったコンクリートが何かを言いかけたのに無理矢理口を押さえるような息の詰まる音である。その不穏な音そのものにも驚かされるし、作業を終えるまで物音ひとつ立てなかった検針員の存在にも驚かされる。水道局は、隠密行動のトレーニングでもしているのだろうか?ぼくが、検針員になったとしてもあそこまで静かに作業を行う自信はない。
 だが、今日の驚きはそこで終わらなかった。これまでで初めての驚きが待っていた。
 普段だったら仕事を終えると風のように去っていく検針員が、我が家のインターフォンをならした。何事かと思って話を聞いてみると、今回の検針では異常に水を使っているという結果が確認されたそうだ。
 前期の検針より35%、前年同期間と比べても15%も水道使用量が増えていた。
 季節によって水を使う量は変化する。とは言え、この増え方は不自然である。何よりも前年同期間と比べても増えているので、明らかに今までとは異なる水の使い方をしていることになる。真っ先に疑ったのは漏水だが、検針員がチェックした限りでは漏水の兆候は無いらしい。いったい何に使ったのだろう?
 例えば、風呂の栓を閉めるのを忘れてお湯張りをしてしまったとか、食中毒になって三日三晩トイレで過ごしたとかそういう記憶でもあればこの使用量にも納得できる。でも、そんな特別感のある記憶はまったく無い。特別なことと言えば、水道メーカーが我が家に視察に来たことがあった。ぼくは立ち会っていないので詳細は分からないが、キッチンでの水道使用の視察だったらしい。その時に多くの水を使ったらしいのだが、視察は2時間程度。その短時間に数百リットルも使ったとなれば、キッチンのシンクに穴が開いても不思議ではない水圧で水を出した計算になってしまう。逆に日常使いが増えたと考えて飲食で使ったと想定しても、やはり説明できないほどの量なのだ。水の過剰摂取ぼくは既に死んでいるだろう。
 こんなにも大量の水を消費したにも関わらず、一切心当たりが無いというのが何とも気味が悪い。漏れているというより、消えているという感じに近い。