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ecoモード

by 唐草 [2018/05/22]



 我が家の給湯器には、「ecoモード」というボタンが付いている。主電源と自動湯張りボタンの間に堂々と居座っている存在感のあるボタンだ。とは言え、頻繁にオンオフを切り替える類の機能ではない。ボタンの使用頻度からすると、その場所はふさわしくないように思えてくる。地球環境に配慮した製品を作っていますよと主張したいメーカーのエゴが、使い勝手を無視してボタンをそこに置いているのだろう。プロダクトデザインとしては、下の下である。
 「ecoモード」ボタンの下にある緑色LEDが、今日もせっせと環境保護活動に精を出していることをアピールするべく光を放っている。
 だが、このLEDが輝きだしたのは数日前のことである。実は、一昨年のリフォームの際に給湯器を取り替えて以来、長らく「ecoモード」をオフにし続けていた。ところが、先日掃除をしている際に意図せず「ecoモード」のボタンを押してしまった。
 しまったと思って「ecoモード」をオフにするべく、スイッチに指をかけようとしたときある疑問が浮かんだ。
 いったい何に不満を感じて「ecoモード」をオフにしていたのだろうか?
 ぼく自身が「ecoモード」をオフにしたにもかかわらず、それも「この先、2度と有効化などするものか!」と硬く心に誓って地球環境という大局観を投げ捨ててまで己の利を優先したにもかかわらず、なんのためにオフにしたかをまったく思い出せなかったのだ。
 「ecoモード」を有効にしていると何かしら小さな不満が発生したことは確かだ。初期設定である「ecoモード」の何かが許せなかったように記憶している。でも、実際のとこと何に不満を感じていたのだろう?記憶を消去されたとしか思えないほどに、オフにした理由を思い出すことができない。記憶の消去は、過激な環境保護活動家の仕業だろうか?きっと違う。
 「ecoモード」を切った理由が思い出せないが故に、ボタンを押すか逡巡している自分に気が付いた。
 理由を思い出せないのならば、いっそのこと「ecoモード」を利用してお財布に優しい毎日を送った方が幸せなのではないだろうか?それに実際に使っていれば、「ecoモード」の不満点を再確認できるかもしれない。
 と言う訳で、先日から「ecoモード」が有効になっている。地球にも財布にも優しい毎日を過ごしている。今のところ、不満点はなにもない。いったい、一昨年のぼくは「ecoモード」の何に怒りを覚えていたのだろうか?