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違いが分からない

by 唐草 [2018/05/24]



 昔、ネスカフェゴールドブレンドのTVCMで「違いの分かる男」シリーズというのがあった。違いの分かるいい大人は、ゴールドブレンドを選ぶというようなノリのCMだ。今放送したら、意識高い系CMとしてからかわれそうな気がする。
 小さい頃にそんなCMを見せられていたので、大人になったらいろんなものの違いが分かるようになるものなんだろうと刷り込まれてしまった。三つ子の魂百までといったところである。
 実際、大人になってみてぼくは違いの分かる男になれただろうか?
 残念ながらゴールドブレンドを選んではいない。少なくともネスカフェがイメージするいい大人には成れなかったようだ。
 血中成分にカフェインが溶け込んでいると確信するほどにコーヒー中毒なぼくを支えているのは、ネスカフェでなくAGFである。なんとも日本人的な選択だ。AGFのコーヒーには、いくつかのブランドがあるがぼくが愛飲しているのは、インスタントコーヒーの中ではミドルクラスに位置するらしいマキシムである。
 選択の理由は、ずばりコストパフォーマンスである。違いの分からない男なので、舌ではなく値札だけで判断しているのだ。
 マキシムブランドには、2つのラインナップがある。「マキシム」、「マキシム・モカ」の2つだ。また、マキシムとは別ブランド扱いになっているが同価格の「ちょっと贅沢な珈琲店」というインスタントコーヒーも時々購入する。
 この3つのコーヒーを気分によって買い分けている。連続で同じもの買わないように気を配ってもいる。
 だが、正直なところ味の違いを意識できたことはない。違うコーヒーだと分かって飲んでも、その違いを理解することができない。それどころか、どれも同じにしか思えない。やはり違いの分からない男なのである。
 それなのになぜ毎回違うものを買おうと努力してしまうのだろう?違いの分かるいい大人への憧れが捨てきれないのだろうか?それとも「今度こそ違いを見抜いてやる」と密かな闘志が心の奥底で燃えているのだろうか?分からないが、今日も浴びるようにコーヒーを飲んでいるのである。