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ゴーストパンク

by 唐草 [2018/05/26]



 事の発端は、木曜日まで遡る。仕事を終え雨降る夜に家路を急いでいたぼくを悲劇が襲う。駐輪場から出した自転車の後輪がパンクしていたのだ。
 この日乗っていたのは、いわゆるママチャリである。朝、自転車に乗ったときは特に異変を感じなかった。だが帰宅時にぼくを待っていたのは、後輪がペチャンコにつぶれた自転車であった。結局、雨に濡れながら約3kmの道のりを押して帰ることとなった。何とも悲しげな姿である。
 今日はパンクを修理することにした。もちろん自力での修理である。ぼくは自分でできることは自分でやらないと気が済まないのだ。
 手慣れたとは言い難い手つきで後輪のタイヤを外してチューブを引っ張り出す。チューブに開いた穴を探して塞げば修理は完了である。でも、その前に確認しておくべきことがある。
 自転車のパンクは、多くの場合尖った金属片が刺さったことが原因。鋭利な金属片は、タイヤに刺さったままになっていることが多い。だからチューブを直してタイヤに再装着しても、再度パンクすることになる(経験談)。まずはタイヤに刺さっているであろう突起物の捜索が必要。
 素手でタイヤの内側を優しくなぞっていく。もし何かがあれば指に引っかかるはずだ。しなやかな手つきで2周ほど確認するが何も無かった。まぁ、そう言うこともある。
 いよいよチューブのチェックに入る。古典的な方法だが、水を張ったバケツの中にチューブを入れて空気が抜けている場所を探すのがベストな方法である。半分ぐらい空気を入れた中途半端な固さのチューブをバケツの中に少しずつ押し込んでいく。気泡を見逃さぬように目をこらしつつも、力強くチューブを押し込んでいく。
 3周ぐらいチェックしたけれど、ひとつの気泡も確認できなかった。ようするにタイヤチューブは、どこも悪くないと言うことだ。
 でも、確かに空気は抜けていた。チューブの中から空気だけ消えたとでもいうのか?謎の化学反応でも起きて、気体が失われたのか?
 そんな訳あるまい。
 念のため金属のバルブもバケツに押し込んでみた。すると、気の抜けた炭酸水のような感じでゆらゆらと泡が出てきた。悪かったのはバルブだったのだ。
 と言う訳でバルブを交換。パーツ代の約100円で修理完了だ。原因を見つけるまでの苦労を考えると、なんだか徒労ばかりでお得な感じがしないのはなぜだろう。