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日本人の矜持?

by 唐草 [2018/09/02]



 少し前に海外の料理番組を見るのにハマっていると書いた。紹介される料理や調理法を見ていると家にいながらにして簡単にカルチャーショックを味わえる。日本にいれば世界中の料理を食べられるけれど、世界のすべての料理を食べられる訳ではないということを痛感できるのだ。
 先日見ていたのは、イギリスの料理番組だった。料理がマズいことで有名なイギリス。マズさの原因は、茹ですぎの野菜と過剰な塩味だと言われている。ぼくも本場でフィッシュアンドチップスを食べたことがあるが、塩味がきつかったという印象しかない。まぁ、酒のつまみだと思えば悪くないのかもしれないけれど。
 おっと、話が逸れた。
 ぼくが見ていた番組では、有名シェフが様々なレシピを紹介していた。野菜の湯で時間が長いと感じるレシピはなかったが、「塩ひとつまみ」の分量がつまむというよりは握るに近いように見えたのは確かだ。まるで、相撲のお清めの塩のよう。
 しかし、塩だけに見とれていたわけではない。一番ぼくの目を惹いたのは、オリーブオイルである。
 どんなものにもオリーブオイルをかけまくっていた。焼く前にフライパンに敷くのもオリーブオイルだし、焼き上がった後に仕上げとしてかけるのもオリーブオイルだった。数年前に日本でもオリーブオールをかけまくる料理を紹介していた芸能人が話題になったが、あれが可愛く見えるほどオリーブオイルを使いまくっていた。オリーブオイルというとイタリアとかスペインのような地中海に近い地方のイメージが強かったが、イギリスでも油といえばオリーブオイルが基本なようだ。
 豪快なオリーブオイルの使い方を見て、日本とヨーロッパでの油への認識の違いに気がついた。日本で油というと鍋に直材がくっつかないように敷くような使い方か、あるいは揚げ物ぐらいしか思い浮かばない。油は直接食べるものというよりも、料理を円滑にするための素材という印象が強い。一方、ぼくの見ていた番組では、そうではなかった。むしろ塩や胡椒と同じように味を調える調味料というポジションで使っていた。
 日本人がどんな食材にもとりあえず醤油をかけてしまうのと同じような感覚で、オリーブオイルを使っている。
 オリーブオイルを調味料として使う姿を見てひらめいた。ひょっとして白いご飯にかけても美味しいのではないだろうか?と。でも、なんだかそれをやったら負けな気もする。何に負けるのかよくわからないが、日本の食文化として大切な精神が根本から折れるようなそんな気がしてならない。白いご飯は、日本人の魂なのかもしれない。