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治った瞬間

by 唐草 [2018/09/23]



 先週の木曜日ぐらいから季節が一気に進んで秋が深まったような気温の日が続いていた。ここ数年、秋というのは何の予告もなく唐突にやってくる季節に変わってしまったように思える。「まだまだ暑いなぁ」とか言っていた次の日にはジャケットを羽織るような気温になっていたりする。心の準備も体の準備も整わないうちにガラリと季節が変わってしまう。
 その結果、何が起こるのかと言うと体調を崩すのである。
 今になって思うと、木曜日の朝から体調が下降気味だったのだろう。急な秋の到来に布団の切り替えが間に合わず寝冷えをしてしまった。最低気温は、今年の9月で最も低い数字を記録していたはずだ。事実、数日前から比べて寒かった。でも、ぼくのようにジャケットとベストで防寒対策というべき重装備を身につけるほど低い気温でもなかったはずだ。元気のいい若者は、単に衣替えが間に合わなかっただけかもしれないが半袖を着ていたりもした。
 この時点で体の異変に気がつくべきだった。
 だが、鈍感なぼくが自分の体調の悪化に気がついたのは、昨日のお昼ごろだった。予定外の休日出勤からの帰りのことである。「今日も寒いな」と思っていたのは、数日前からずっと同じ。でも、昨日は自転車のペダルが異様に重かった。まるで向かい風の中、坂道を登るように重かった。実際には風も吹いていないし、道は平坦だった。
 これでようやく気がつけた。自転車をイメージ通りにこげないときは、確実に体調を崩している。よく考えてみたら金曜の夜から鼻水が、壊れた蛇口から漏れる水のように流れ続けていたではないか。
 気がつくのは、すべて後になってからである。寒いのはずっと気温のせいだと信じて疑っていなかった。まさか、自分の体調悪化で悪寒に襲われているなんて夢に思わなかった。もし早めに症状を自覚できていたら、もっと前から適切な対応を取れていたかもしれない。
 昨晩は、反省しながら総合感冒薬を飲んで寝た。
 夜が明けると薬が効いたのか鼻水は止まった。でも、なんか足がだるいし、喉の奥がかゆい。それにまだちょっと寒い。温度計を見ると半袖でもいいような気温を指しているが、長袖で十分だ。まだまだ安静にしているべき体調なのだろう。
 夕方近くなった頃、急に暑くなってきた。袖を捲って、窓も開けた。南風に変わって暖かい風でも吹き込んで気温が上がったのだろうか?アメダスを見たが気温は、日の傾きに従って下がっていた。だとすると考えられることはひとつだ。
 悪寒が消えて普通に気温を感知できるようになったんだ。あぁ、これが治った瞬間なのか。生まれた初めて気がつけた。