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腹が減る

by 唐草 [2018/10/20]



 体調不良というのは、一般的にはどの程度の不調までを指すのだろう。発熱や腹痛、頭痛だったら間違いなく体調不良にカウントされるだろう。いつもと異なる状態が続いて生活に支障が出るというのが体調不良だとすれば、足の裏のかゆみが治まらないもの立派な体調不良だろう。
 では、昨日のぼくは体調不良だったと言えるのだろうか?自分でもその判断を下せず、もどかしい気分になっている。
 昨日のぼくは、食べても食べても空腹感が収まらないでいた。
 朝食は、9時ぐらいに厚切りトーストをバター&メイプルシロップで食べた。いつも通りの時間にいつも通りの朝食である。だが、目の前からパンが消えたのかと思うほどに満たされなかった。
 昼食は、職場の食堂でラーメンを食べた。本当は唐揚げ定食とかを食べたい気分だったのだが、不運なことに既に売り切れになっていた。ぼく以外の人々も飢えていたのだろうか?
 午後、仕事をしていても腹が鳴るばかりで集中力が保てない。甘い飴を口の中が荒れるほどに食べ続けてもぼくの体はなにかが足りないと訴え続けていた。
 仕事が早めに片付いたので帰りにミスドに寄ってドーナッツを買い込んだ。家につくなり2個をペロッと平らげる。だが、「ドーナッツはゼロの形をしているからノンカロリー」というお笑い芸人のネタが真実であるかのようだった。午後5時頃にドーナッツを食べたのに、2時間後にはいつもと同じように夕飯を食べていた。
 夕飯を食べたという事実は、腹の足しにはならかなった。むしろ、夕飯を食べたのに未だに空腹を感じている異常な自分自身を再確認するだけだった。その後もグラノーラを食べたり、煎餅を食べから水を大量に飲んで胃の中で膨らませるという過激なことを行ったりと間食を続けたが、一向に空腹感は収まらなかった。
 大学生ぐらいまでのころは、時々無限に食べられるのではないかと思うほどに食欲を発揮する時があった。そういうときは大抵肉不足。タンパク質と脂質が足りていないので、体が肉を得るまで引き下がらなかったのだ。でも、そんな若かりし時代はとっくの昔に過ぎ去っている。今ではハムスター呼ばわりされる程の少食になっている。それに肉も野菜も食べている。栄養の偏りはないはずだ。
 それなのに一体なんでこんなにもお腹がいっぱいにならないのだろう。食べても食べても満たされない。天文学的な確率でぼくの胃袋が宇宙の何処かにあるワームホールとでもつながってしまったのではないかと思うほどに腹が減り続けていた。
 ここまで異様な空腹は体調不良としてカウントしたい。でも世間は認めてくれないだろうな。ぼくだって「今日、お腹いっぱいにならないんで授業休みます」なんて学生に言われたらブチ切れそうだもん。