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深夜の決闘

by 唐草 [2018/11/02]



 先日、数年ぶりにゴキが出現したという恐ろしい話を書いた。あの日以降、我が家は厳戒態勢を敷いていた。台所周辺に3つのゴキブリホイホイをセットして、ゴキがどんなコースでやって来ようとも確実に捉えてやるという強い殺意をむき出しにしていた。しかし、せいぜい3cm程度の小さな虫相手にムキになる愚かな人間をあざ笑うかのようにゴキブリホイホイは綺麗なままだった。
 ホイホイを華麗に回避していることを考えるとゴキ共がものすごい勢いで知性を身につけ進化しているのではないかという不安さえ湧き上がってくる。漫画の読みすぎだろうか?
 昨晩、午後11時頃からゴキがいるであろう居間でゆったりとテレビを見ていた。部屋が明るいうちは奴らは行動しない。電気をつけている限りこちらが支配者なのである。
 ドラマが佳境に差し掛かった頃、部屋にいた猫たちが妙にソワソワしていることに気がついた。獲物を見つけたときのような緊張した面持ちでシンク付近の床を見つめている。猫という生き物は、興味のスイッチが入るとどんなものでも獲物に見えてしまう生き物だ。それが、昆虫でもオモチャでも紙の切れ端でもロックオンしてしまえば同じ表情になる。
 猫どもは、何をロックオンしているのだろう?視線の先を追ってみたら、ゴキがいた。
 まだ部屋に明かりがついていて、人もいるというのにホイホイを回避して部屋に出てきていた。やはり、知性を身に着け初めているのか!?
 この時はまだ、ゴキの出現が後に始まる狂宴の序章だったなんてことを知る由もなかった。
 しばらくはゴキを無視してドラマに集中していた。だが、急に猫が色めき立った。
 先にゴキが動いたのか、それとも猫が手を出したのが先だったのかはわからない。だが、今となってはどちらが先でも変わりない。
 リビングの中央を全速力で逃げるゴキ。それを追う猫3匹。こうして夜の運動会は始まった。ゴキが逃げれば猫が走る。猫が走ればゴキが逃げる。アイスホッケーのパックを追うようにゴキと猫が縦横無尽に走り回る。昆虫嫌いにとって、これはもう地獄絵図である。ぼくはドラマを放って部屋から逃げ出した。
 部屋からは猫が走り回る音がしばらく続いた。
 やがて静寂が訪れた。
 恐る恐るリビングのドアを開けて中を覗くと、ひっくり返って足をジタバタしているゴキを3匹の猫が囲んでいた。自力で起きれないのならゴキの死も近いだろう。そう思って見ていたら、一発の猫パンチで形勢は一気に逆転した。猫パンチで体勢を取り戻したゴキは、再び部屋を走って逃げ回り始めた。こうして、深夜の運動会第2ラウンドが始まったのである。
 このプチ地獄絵図は、ぼくがゴキを掃除機で吸って始末するまで続くこととなった。先日見たゴキ退治の夢を遥かに上回る悪夢のような30分となったのであった。