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知りたくなかった

by 唐草 [2018/11/04]



 インスタントコーヒーが尽きていた。つい先日、詰替え用大袋を購入したはずなのに消え去るようになくなってしまった。今のぼくはカフェインだけで動いているようなものである。コーヒなしでは生きていけない。No Coffee, No Life!
 早速、近所のスーパーにインスタントコーヒーを買いに向かった。コーヒーだけを買うつもりだったのだが、気がついたら安売りしていた500mlのコーラも手にとっていた。カフェインの入った飲み物として手にとったと言うよりも、黒い液体ならなんでも良かったという気分である。もし目に入っていたら、蕎麦つゆやイカスミでさえ手にとっていたかもしれない。それぐらい深刻なカフェインの禁断症状が出ていたのである。
 レジで会計をしているときにレジ係のオバちゃんから思わぬ一声をかけられることになった。声をかけられることさえ予想していなかったので、オバちゃんの発する声の意味を理解するのに一瞬の間があったことだろう。人の良さそうなレジのオバちゃんはこう言っていた。
「明日のセールでコーヒー類が2割引になりますけど、どうしますか?」
 さて、どうしよう?
 ぼくが買おうとしているのは500円ぐらいの詰替え用大袋のコーヒー。2割引になるのなら100円ぐらい安くなる。間違いなく明日買ったほうがお得だろう。だが、明日は普通に仕事がある。時間に余裕があるのでスーパーに寄ってから出勤することもできる。でも、たかだか100円のために回り道するのも面倒だ。
 なによりぼくは今すぐコーヒーを飲みたいのだ。ぼくはカフェイン切れの禁断症状を起こしている患者であるとも言える。つまり今のぼくは、発熱しているので解熱剤を求めて薬局を訪れている病人と同じようなものなのである。そんな病人に「明日のほうが薬が安いですよ」と伝えて薬を売らないのは、あまりにも残酷な話である。
 それにもしコーヒーを買うのを諦めたら、ぼくはコーラだけを買って帰ることになる。それでは一体何のためにスーパーまで買い物に行ったのかさっぱりわからない。
 ぼくはオバちゃんのの申し出を断って、いつも通りのお値段でコーヒーを買った。
 レジのオバちゃんとしては、親切心からセールのことを教えてくれたのだろう。もしかしたらクレーマー対策という意味もあったのかもしれない。どちらにせよ、ぼくにお得な情報を伝えようとしていたことに違いはない。
 でも、それを聞いたぼくはちょっと違う感想を抱いた。100円高いコーヒーを買わざるを得なかったとしか思えないのである。なんだかモヤモヤしたものが残る買い物となってしまった。こんなことならセールの話なんて聞きたくなかったよ。