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1万ボルトのダメージ

by 唐草 [2018/11/07]



 冬になるとぼくを悩ませる問題がいくつかある。その中の1つが静電気である。
 静電気体質という考え方は、オカルトチックな都市伝説のようなものだと考えている。人体を構成する物質の大部分は水分とタンパク質だ。電気を貯めやすい組成の人とそうでない人に分類できるとは思えない。唯一髪の毛だけは帯電しやすいことは認めるが、髪の毛の組成よりも髪の毛の量のほうがものを言うだろう。静電気体質とか帯電体質というのは、要するに毛深いかどうかが一番影響しているだけではないかと疑っている。
 それに人体の組成よりも影響が大きいものが、ぼくたちの身の回りには山のようにある。どんな服装をして、どんな場所で活動するかのほうがはるかに大きなファクターとなり得る。体質なんて誤差の範囲でしか無いだろう。
 乾燥がより一層深刻になってきたので、ぼくも静電気の被害を何度も被っている。例年だとヒートテックを身につけるようになると静電気に悩まされるのだが、今年はヒートテックを着ていないのに静電気まみれである。いったい何が原因なんだろうか?
 自宅では全く静電気の被害にあっていないのだけれども、職場だと電撃の特殊能力でも身に着けたのではないかと錯覚してしまうほどにバチバチ放電を繰り返している。ロッカーを開けるときにバチっと音が鳴る。部屋の鉄扉を開けるともバチッと鳴る。トイレのセンサー式の蛇口に手をかざすと水を通して蛇口にへと放電してバチッと鳴る。とにかくありとあらゆる金属製品に近づくだけでバチバチ鳴りまくっているのである。
 音だけなら良いのだけれども、小さな高電圧は刺すような痛みをぼくの指先に与えてくる。痛いのは勘弁してほしい。だから金属に触れる時は、可能な限り肩からゆっくりと触れるようにしている。肩は神経が集中する指先よりずっと鈍い。だから同じダメージでも感じ方が小さいのである。ぼくとしては静電気の痛みを避けようという小心な気持ちで振る舞っているのだけれども、傍から見たら扉にスローなタックルをかましているように見えているかもしれない。
 今年は例年に増してバチバチ鳴っている気がする。昨年比で300%増しぐらいの印象である。正直言って、金属に近づくのが怖いレベルである。先にも書いたとおり痛いのはイヤだ。でも、それと同じぐらい不安になっていることがある。静電気でぼくの身の回りにあるコンピュータを壊してしまうのではないかという不安である。剥き身のハードディスクが転がっているような場所で仕事をすることもあるし、数百万のサーバに囲まれることもある。指先からの不本意な電撃が、悪夢のクリティカルヒットを繰り出さない保証はどこにもない。
 静電気対策として尻尾のように腰からアース線を垂らして生活しようかな。