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発生源を探れ

by 唐草 [2018/11/08]



前回のあらすじ
 電撃の特殊能力を手に入れたのか!?と現実逃避しないと辛いほど静電気に悩まされている今日このごろ。さぁ、困った。バチバチ。
 
 金属に近づくだけでバッチンバッチン鳴り止まないほどに帯電していると何かに触るのが怖くなってくる。何を触っても痛い目に遭わされるのではないかという猜疑心がつきまとう。まるでぼくを取り囲むすべての什器に画鋲が仕込んであるかのようなストレスである。
 静電気に悩まされたことは過去にも何度かある。その時はヒートテックの下着が原因だった。化学繊維が生み出す暖かさの代償が静電気だったわけだ。これは因果関係が明確だったので対処することができた。
 この秋は、まだヒートテックの下着を身に着けていない。下着は綿素材だ。だから原因が別にあるはずだ。突き止めなければいつまでも静電気に怯えて肩を小さくして生きていくハメになる。
 静電気に悩まされるのは、職場の自分のデスクだけである。きっと、ぼくのデスクの付近に何か原因が潜んでいるはずだ。
 まず、疑いの目を向けたのがくたびれた事務椅子。この椅子はぼくの骨っぽい尻をフラットにしようという邪悪な精神を宿している。長時間座っている尻が痺れたように痛くなる。座面は化繊のクッションだし椅子の主要なパーツは樹脂で覆われている。いかにも帯電しそうな設計である。きっとこの椅子がぼくに電気をためているのだろう。まったくなんて悪意に満ちた椅子だ。
 なんとかして放電しなくてはならない。とりあえず靴を脱いでみた。でも、職場の床はゴムのような素材なのでまったく放電できなかった。電気を逃がす事ができない以上、根本的な電気の発生源を見つけ出し根絶する必要がある。
 小学生の時に楽しんだ頭髪と下敷きのコンビネーションを思い出してみてもわかるように静電気の発生には極性の異なる2つの物質が必要だ。椅子のペアになっているものは一体何なんだ?きっとぼくが身につけているもののはずだ。
 裸一貫で座れば多分静電気は発生しないはず。だが、自宅でもはばかれる格好になれるわけもない。脱ぐことは選択肢に入れず、冷静に身に付けている服の洗濯タグを確認していった。
 ぼくが身につけているもののなかで、1つだけ化繊オンリーの服があった。それがベスト。スーツの下に着るような背中がツルツルのベストだ。一見フォーマルに見えるが、実はH&Mで買った安物。ほぼすべてがポリエステルだった。
 こいつが原因に違いない。まるで素っ裸にでもなろうとしているぐらいの勢いでベストを脱ぎ捨てた。
 こうして静電気に怯えることのない平穏な日常が戻ってきたのである。めでたし、めでたし。と思ったのだが、来月にはヒートテックの下着を着て再び静電気に怯えていそうである。苦難の季節はまだまだ続きそうだ。